【104#】AT&T Nassau 10Khz問題と大衆演劇 50cm = 341円
☆本商品は AT&T製のNassau Solderです。
・・・・・・スプール上のデータ・・・・・・・
AT&T
Nassau Metals
SOLDER ALLOY
NET WT. 5LBS
GASTON,S.C.
STATEN ISLAND,N.Y.
1960年後期~1980年代
直径は1.7mm 約50m程度あります。
WE御用達と呼ばれるハンダがナッソです。世界的にAT-7076が知られていますが他にも色々な種類があります。今回出品のナッソはAT&T表記のNassauという事で年代的には新しめです。合金比率やコアなどの記載はありません。裏側はシールが全部剥げていましたのでひょっとするとデータは裏にあった可能性もありますが定かではありません。私の場合、ナッソの蒐集は赤ナッソ体験で一応、終了した感があり現在はさほど集めていません。そんな中、このナッソどうなんでしょ? 気になりますよね、では音質テストにまいります。
今回のテストはHOT側とCOLD(GND)側の両方にこのハンダを使用した結果を述べます。
まずAUDIO用の結果をレポートします。
Central Reservation Beth Orton Central Reservation
舐めていました。この何でもないナッソ、悪くありません。不思議なバランスで中域はナチュラル&オーガニック、低域はそのまま、高域はシビランス音が強調され気持ちいいのです。AT7076と直接対決していないのですがAT7076のちょっと寒色系で優等生のようなハンダに較べるとこのナッソ、駄菓子的雰囲気が大いにあります。ほら駄菓子って大抵、体に悪いんですよ、でも美味しいと感じる下町の味。毎日フランス料理を食べる事はできないので、そういう時にはこのナッソが別の駄菓子的味わいをくれるのです。
Red River Valley Cassandra Wilson Thunderbird
ボトルネックギターの伴奏だけ、その上でカサンドラが歌う。泥臭くアーシーな雰囲気の曲。それにしても先ほどのベス・オートンと同じくボーカルの子音域が強調されます。これがこのハンダの持ち味なのかもですが、胡椒や山椒やワサビのように加えると美味しいが、やり過ぎは禁物です。この曲でもこのA&Tナッソは中域のオーガニックさとボーカルの倍音域(特に子音域)が印象に残ります。
I Want To Be Loved Cassandra Wilson Thunderbird
じゃ低音域はどうなんだと言う事でカサンドラをもう一曲、この曲はバスドラムの量感と音圧感を聞けます。結果から言うと低域はフラット気味に聞こえますがややリミッター感がありそれはそれで悪くないですね。低域の量感は普通、音圧感も普通、それでやや低域にリミッター感あり。
Tee Funk Dave Weckl Heads Up
うん、なかなかにいい音です。バスドラの音圧と締まりがGoodです。カウンター的に入る合いの手的楽器の音もバランスよく決まります。SAXも悪くない、ベースもいける。なかなかに普通にいい音なんですねコレ。ただナッソの7076系とは違ったテイストを持っています。なんて言うか美味しい駄菓子のようです。
Tears In Heaven Eric Clapton The Clapton Chronicles
じゃクラプトンはどうなんだと言う事で一曲、うん、これも普通ですね何かが加わった感もなく至ってそのまま、ただ「そのまま」と言いましてもERSIN系の「そのまま」が文字通りのものだとするとAT&Tのナッソの「そのまま」はやや庶民的な香りがします。時折、アタックの強い音に吃驚させられますがそうした江戸的味わいは悪くありません。なかなか一言でこうと言い切れないもどかしいハンダです。
Double Trouble John Williams ハリーポッターとアズカバンの囚人
ハリポタの映画挿入曲。コレもまぁまぁです。普通なんです。でも凡庸ではなく何かありそうなんですが、それも大きいやつはなさそうで何かあっても僅かな違いです。案外、10Khzあたりの高域が出ているのでステレオのトンコンのTREBLEをちょっとあげたような感じもしますがそれも微妙にそうなんです。10Khzあたりの高域が出ているのでやや高域がヒステリックに聞こえる瞬間があったりしますが、それも僅かなもんです。ただ超高域はさほど出ていません。
Billie Jean Karen Souza Feat. Jamie Lancaster Essentials
この曲を聴いて理解しました。このハンダって大衆演劇みたいな味がします。つまり高貴か野卑かと言えば野卑側にやや寄った風俗的味わい。だからこの曲の何やら不良っぽいあたりがピッタンコ。AT7076に対するレジスタンスのような気さえします。AT7076を仮に東大生とすればこのナッソは芸人風なテイストです。
レスポールです。オーディオでは余り美点を上げられなかったこのナッソ、LPで巻き返しを図ります。鼻を摘んだようなLPの音が特徴的で粘りと乾き(枯れと言うより乾きです)、そして酸味が強い甘味を音に感じます。有体に言えばこのナッソLP用でいいんじゃないかな、ただ何度も言いますが下品な所があるので高貴な音を期待してはいけません(※そこが優等生のAT7076に対抗している所)。しかしこう書いてくるとそれなりの強い個性を持っているんだなと感心します。クリーントーンはまぁ普通です。ギターのビンテージ化も10年程度感じます(20~30年は無理)。歪ませていくと本領発揮します。やはり下世話な音がいいんですね、このハンダ。
ストラトです。クリーントーンは悪くありません。結構ドスの効いた音です。クリーンでも10Khz問題があるのでブライトなトーンになります。うんと歪ませるとスペシフィケーション風に枯れ度が高まり乾きも追加してアーシーなストラトになります。10Khz問題はストラトの場合良い方に加担しますのでちょっと何かブースター系のペダルを踏んだような感覚があります。
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まとめ
オーディオに於いてこのナッソは特に特筆大書できる部分はありません。10KHzをEQでやや持ち上げたような感じがありしかも持ち上げ方がシェルビングではなくバンドバス・フィルターのようにそこだけをちょこっと持ち上げた感じです。そこがある意味、大衆芸能的な風俗味なんです。シンバルのレガートなんかは結構気持ちいいのですね。エージングでこの10Khz問題がどう変化していくのか興味深いです。まぁこのまま10Khz問題が続いてもレスポールやストラトではいい感じで使えます。チープな良さというか・・・・・・・。
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