【155#】ES-1.6
1940年代のイギリスハンダ
◉究極の中の究極◉
15cm = 636円
TYPE 不明
GRADE 不明
ROSIN COREではない。
※試聴にはペーストにノコロドを使用
年代は1940年代…らしい
英国製らしいと言う事だけがわかっている。
直径は1.6mm
ES1.5が売り切れました。謎のイギリス・ハンダ・シリーズ好評のようです。それでES1.5の次という事でES1.6を出します。この1.6は直径です。ESはEnglish Solderの頭文字です。私が英国製ハンダの優秀さを認めたのは皆様ご存じのERSINからです。仕事でも使いやすく音が良いのでマストアイテムでした。特に3COREの物が好きで100%ケーブル作りに使っていました。
ERSINで味を占めたので他の英国ハンダにも興味が湧きました。現在ではERSIN以外にも何種類か出品していますが、このESはメーカー名不明の怪しいハンダです。ただ英国から輸入したので英国製のようです。前回のES1.5は好評のうちに完売となりました。このES1.6にも期待が持てます。作業性的にはES1.5よりも若干良いように思いました。ノコロドをペーストとしてたっぷり使いコテ先をちょっと長く当てるか、高温で使えば溶けますし付きます。作業性評価は中の下といったところ。
なんかこのESシリーズ、表面は燻んだ鉛色そのもので案外柔らかいのです。多分、錫よりも鉛の方が多いのでしょうね。前置きはこれぐらいにして音質評価に移ります。
テストはHOT側とCOLD(GND)側の両方にこのハンダを使用した結果を述べます。
今回はレスポールを最初に試します。ハンダを変えた効果が一番わかりやすいのは出力ジャックのハンダ付けです。途中よりも末端の方が変化がわかるものです。さてハンダ付けが終わり早速弾いてみました。驚いた事に最初から出来上がった音が飛び出して来ました。多分LPファンがLPに求める音が残らず凝縮されている感じです。
これが残らずではなく一部だとやはり不満が出るものです。このES1.6の場合、最初からこの音が出てしまいましたから驚いた訳です。この衝撃度は激ヤバ22AWGを弾いた瞬間の驚きに酷似しています。私的にはESシリーズの中でこのES1.6が一番好きな音です。これまでもギターに向く様々なハンダをご紹介して来ましたが、このES1.6はドンズバです。
そしてこの妖しく美しい音はアメリカハンダでは出ない音なのです。新品のレスポールにありがちな音のキツさを緩和してよりビンテージに数歩近づける力をこのハンダは持っています。具体的に言うとニャーニャー音にしても深い歪みにしても、そのトーンが絶妙で他のLP用ハンダに有りがちな僅かな違和感がこのハンダには一切無いのです。もう一度言いますがこれまで聴いてきた全ての英国ハンダの中で私が最も好きな音です。
後でオーディオも詳しくやりますが、このES1.6、オーディオでも物凄く好きな音が出ます。で、LPに話を戻しますとこのハンダの場合、粘る音の質感そのものが過去最高なのです。量だけ粘るハンダもありますがこのES1.6は粘った音そのものに陶酔感があり弾き手もリスナーも恍惚の人となります。
トロトロのシチューのような長時間かけて煮込んだスープのようでありながらスパイスが効いていてただのトロ味ではありません。まぁこの辺はグダグダ言うよりも是非、自分で弾いてみて味わってください。なんかこのハンダを使えばLP対策用としては終われそうな気がします。あとはワイヤーとの組み合わせですかね。もうね、とにかくいい音がするんです!
AUDIO用の結果をレポートします。
Stray Dog Mats Eilertsen Trio Sails Set
ベースから入るこの曲、ほどなくブラシからドラムが入ってくる。この弾力感のあるベースと歯切れいいブラシの音を聴いていると改めてJAZZという形態の音楽があって良かったと思う。結局ピアノは最後まで参加しない、リズム隊だけの蜜月的会話だ。実はバンドの中でベースとドラムと言うのは夫婦関係に近い。
その上でソロを取る楽器はいい気なもんだと思う。俺らがビートやリズムをジェネレート(生成)しているからお前がその上に乗れるんだぞ、とベースとドラムの夫婦は内心思っている。そんな夫婦が二人だけで水入らずの掛け合いをやっている。多分だが、そんな様子を見てピアノは「こりゃ二人だけでやった方がいいや」と思ったのだろう。このハンダの醸し出すリズム的ワクワク感は相当なもので音楽の楽しさの本質に迫る。
Nights In White Satin The Moody Blues Days Of Future Passed
名曲「サテンの夜」だ。今思ったのだがこの歌手の声、草薙君に似ている。もちろん元SMAPのだ。草薙君はジャニーズ事務所から抜けていて結局良かった。目を瞑ってこの歌声を聴いていると草薙君が歌が上手くなって歌っているように聞こえてくる。このES1.6の音はオーディオ圏内を越境し直接音楽の核心、熱い心情をこちらに伝達してくれる。
それにしても思うのだが、この頃のロックの曲は結構長い、それまでの2分30秒程度の尺の流行歌のルールなど破壊している。それが良かったのかも知れない。ロックはあらゆる意味でやりたい事をやればいい、それがロックの精神だ。ジャズもそれなりに自由なのだがロックの自由さは360度方向に手足が伸びている。下手くそな演奏でもいい、歌が上手くなくてもいい、面白ければ。そんな事をES1.6ハンダで考えていた。
Manhattan Skyline Julia Fordham The Julia Fordham Collection
甘い芳香とES1.5の時も書いたが、それはES1.6も同じ、だがジュリアの声がより生々しく、より可愛く思える。この人は媚を売るタイプの歌手ではないので可愛く歌う事はしない。それがともすれば聞き手には生意気に映るのだがES1.6のお陰で可愛さが掘り出された。これは大変に良い事で、やはり男性というものは女性歌手の歌を聞くと言う行為の中に、そういう気分もあるからだ。ジュリアを可愛くしてしまうES1.6、お前は大したタマだ!
Wake Up And Make Love With Me Karen Souza Feat. Renauld Essentials
この曲は力感はあるがやや仕上げ的にはラフな荒削り感を残している。なのでややもするとうるさく感じる。それがどうだES1.6だと荒削りでラフな良さがありつつ、決してうるさくならない。うるさくならないどころか素晴らしい音響性能を醸し出す。全ての音にリアリティが確保される。ボーカルは基音、倍音関係が見事にセパレーションしているので笑っちゃうくらい解像度が高く濃い味だ。セパレーションの素晴らしさはコーラスでは本当にご利益があって左右から快感度高く攻めてくる。
Cyrille Aimee / I 'll Be Seeing You
これヤバいです! 声が良過ぎる。リバーブの殆どかかっていない至近距離でのこの声。まるで喉や首の辺りがニュッと伸びてくるような現実感たっぷりのボーカル。女性ボーカルを密かに聴いている人は一聴してほしい。凄いから・・・。このハンダは女性ボーカルがとにかく良くなる。それと何だろうな、この空気感、オーディオ的には決して広い音場ではないのに、現場の空気感が直接的に伝わってくる。伴奏はジャズ・ギターだけなので歌がくっきり聴こえるのは当然としてだ。この雰囲気、雰囲気ですぞ!!!! 皆の衆。
If I Tell You I Love You Melody Gardot The Absence
この人の曲を以前はよく試聴に使っていた。だが段々と使用頻度が落ちていった。その理由は何と言うか、時としてうるさくも雑な様子が気に食わなくなっていったからだ。だがどうだES1.6で完全に蘇った。これは多分、ES1.6をギターに使った場合と同じく「うるささが無くなる」現象に違いない。このうるささ除去能力は、うるさい曲全般に効くようである。
オーディオはうるさく聴こえたら終わりである。だが実際は演奏家が悪いのか録音技師が悪いのか どのジャンルにも「うるさい曲」がある。そういったうるささノイズリダクション効果がハンダ如きにあるとは常識では考えられない。だが実態は多くの体験者と共に私は声を大にして言いたい「ハンダで音は絶対に変わるのだ!!」ただしこれは「変わる」能力を持つハンダに限っての話だ。
She's Leaving Home The Beatles Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band [Disc 1]
この曲、これまでこのような慣らしたハンダは皆無だ。これ60年代(1967年5月26日)だから既に57年の時が経っている。だがこのES1.6はそんなの関係ねーとばかり素敵に慣らしてくれる、蘇らせてくれる。この曲でもボーカルの音の良さは空前絶後で、全てのハンダにこれぐらいの音で鳴らしてくれと頼みたい。だが残念ながら世間には凡庸なハンダが溢れている。故にハンダは必要悪のように扱われていた。そんな事は無いと私が本気で思ったのはつい最近の事だ。
元々私は音質劣化するハンダを嫌いだった。AMPを作っていてもエフェクターを作っていてもハンダによる音質劣化には悩まされた。しかしハンダを使わないと接続できないので仕方なくそうしていた。一時 圧着接続を本気で行ったのもハンダによる音質劣化から離れたかったからだ。そうだな…思い出すと赤ナッソからだな..。ハンダ沼に惹かれて行ったのは。今じゃどうだハンダ様万歳の気分だ。だってどんなエフェクターでも素晴らしいハンダによる好ましい音質変化を真似る事は絶対不可能です。それって凄いと思いませんか?。こうしてハンダを見る目が180度変わってしまったのが私です。最近ではハンダのお客さまの数が急速激増しております。世の中変わってきているんですね。
最後にストラトです。言っときますと私ストラト弾きです。レスポールも遍歴しましたがストラトのネックに慣れてしまったので今ではレスポールには違和感すら感じます。ブルースセッションに行くと皆さん判で押したようにストラトかレスポールを持って来ます。たまにテレキャスターとかグレッチとかもありますが生き残った2大エレキがこの2種だったのです。
ストラトには基本設計に大きなミスがありそれはリアPUの取り付け角度です。この理由はどうやら当時のカントリーギタリストの出していた音の中にこのカリカリした音が必要だったようです。勿論、レオさんはギターは弾けませんから具体的には当時のプロ・ミュージシャン達に意見を訊いたのだと思います。その結果リアPUはあの角度になったのです。私はあんまりストラトのリアPUの音は好きではありません。
せいぜいセンターPUとのハーフトーンを創る時ぐらいなもんです。だからと言ってあの角度を真っ過ぎにしたりすると、物凄く格好悪くなるんです。音はともかく姿が様にならない。ちなみにその昔、木を削り出してエレキを見よう見真似で作った時、デザインはどうしようかと思いストラトもお手本にしてそこから変化させればいいやとタカを括ってました。見事に格好悪くなります、あの初期のストラトデザインはもう出来上がっていました。
54~63年辺りまで音が良いのがありますが個人的には54~55年のデザインが好みです。Fender社も段々と手を抜いてくるんですね。54~55年あたりはサンダーの面取りを細かくしているんですよ。特に54年がそう、55年になると少し手を抜く。57年あたりはカーヴがやや直線的になってしまいました。58年辺りから微妙に大味になって行くのです。個人的には54~57年あたりのデザインが好みです。
できたらレア・カラーがいいです。しかしながらそう言うのは必ず高いのです。おいそれと買える値段ではありません。ここからが相談で、だったら現在の{カッコだけは昔のモデルに似てる}モデルを購入しハンダとかワイヤーで音を底上げするのは如何でしょう? 無論、そんな暴挙が可能なハンダは極めて少数です、しかもそれらは現代では作られていないので無くなったら終わりです。一期一会なんですハンダとの出会いは。
ちょっと脱線したので話を戻しますとこのES1.6、かなりな腕前です。ストラトのハンダに使うと貴方の新品のストラトが一気にこなれた音になるのです。下手するとPU交換より変化は大きいのです。ちなみにPUに関しては63年までの本物が好きです。これは較べればすぐわかります。新品のPUではまずコイルを構成するワイヤーそのものの音が悪いです。アルニコ5とか2以前にワイヤーの音が悪いのです。
その証拠にバンザントが一時、50年代のワイヤーを使って数セットPUを作りました。私も買いましたが音が全然違うんですよ。そりゃそうですよね、物凄くワイヤーの長さを使ってPUは作られていますからね。
ビンテージギターズの高野さんは私が知る限りほぼ変態的にPU作りを追求しているお方ですが・・・・その彼が言います「巻いている時、目がヤラれます」と、私も経験がありハンドドリルを加工してコイル・ワインダーを作りひたすらPUを作った時期があるので高野さんの職業病がわかるのです。ひたすら回転するPUボビンを見ているとどっちに回っているのかわからなくなる時もあります。
しかも昔風に指でテンションをかけながら巻いていると辛さの極地になります。0.08mm程度のワイヤーを一体何回巻くんだ! と叫びたくなります。使用したワイヤーの総延長は6千回巻くとしたら気の遠くなるような長さです。だから一番音に影響するんです。当然です。
それをストラトの場合VOLポットから出力端子までの15~20cm程度のワイヤーで変えちゃおうと言うのですから虫の良い話です。そして、仕上げは勿論ハンダです。ハンダで音が最終決定します。虫の良い話を実現するにはハンダの助けが要ります。このES1.6、LPだけでなくストラトにもお勧めです。
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まとめ
このES1.6余りにも気に入った為、半分は自分用に確保し、残り半分を販売致します。
思うにこのES1.6、激ヤバAWG22のハンダ版と言っても過言ではない。・・と言うことは激ヤバAWG22のトーンをハンダで出せると言う事になる。さてこうなると面白くなってくる、最近急速に流行ってきたギター向き単線ワイヤー、それとの組み合わせが面白くなってくる。
と言うのは単線ワイヤーの持つ新しいギタートーンの創造性はとってもウキウキする挑戦なのだが、やはり激ヤバAWG22系の音色は担保しておきたいという思いもある。そうなると手は一つ、ワイヤーは単線から好きなものを選び、ハンダはこのES1.6にすれば良いのだ。私が今密かに考えている事はオリジナル・バーストを超える音を新品のレスポールで出してしまう事だ。
これには理由があるオーディオにせよギターにせよ最上級は馬鹿高いのが常だ。富裕層ならいざ知らず我々庶民には手が出ない価格帯にそれらはのしあがってしまった。私はそこに不満を感じる、オーディオにせよギターにせよワイヤーとハンダの、たった二つのアイテムで音は激変できる。 コレクターは別としてプレイヤーは音が良ければいいのである。今後、このワイヤーとハンダによる音の劇的変化の楽しみは一般にも時間をかけて広がっていくだろう。これはとっても愉快である。非常に下克上的な事が今起きている。
【ご注意】
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