【158#】Synkote Black
Radio Hook Up Wire
長時間煮込んだ絶品の味!
15cm = 500円
☆本商品は米Plastoid Corporationの
Synkote
Radio Hook-up Wireです。
TYPE STRANDED WIRE
GRADE RADIO-USE
年代は1940年代後期から
1950年代
直径は0.14mm x 複数
黒のビニール・コート絶縁
このワイヤーメーカーの存在を最近知りました。いやアメリカは広く様々なメーカーが歴史の中で存在していたのですね。企業の名前はPlastoid Corporationで製品名がSynkoteのようです。
当時は石油から作られたプラスチックは花形産業でしたから複数のメーカーが製品名や会社名にプラスチック絶縁体である事を力説していました。考えてみるとプラスチックは水気に強く、それまでの自然素材による絶縁体よりも有利でした。ただ音質的には自然素材のコットンや絹の方が静電気が発生しにくいので音は良かったです。
まぁ当時は音の良さなどはケーブル・メーカーにとっては副次的な要素であったと思いますが時代が経ってみるとこういう事がわかるのですね。さてSynkoteですがビンテージ市場で見かける事は大変に少なくレアな存在です。WEやベルデンの100分の1ぐらいしか見かけません。今後VWD21は何種類かのSynkoteを出す予定ですが今回の物は7.5cm x 7.5cm x2.9cmの紙箱に入っている物でめちゃ少量です。
でも何となく可愛いですよね。ワイヤー自体は黒色で0.14mmの裸線がかなりの本数で撚られており数える気が失せました。15本ぐらいなら数えますが、それ以上になるとねぇ..。とにかく沢山の線で構成されているのでメチャ低音が豊かです。そして素線が裸銅線なので錫メッキ線のような色付けがありません。結構太くてこのままSP CABLEに使えそうですが用途はラジオ用フックアップ・ワイヤーです。さてどんな音がするのでしょう?。
テストはHOT側とCOLD(GND)側の両方にこのワイヤーを使用した結果です。
レスポールの配線ワイヤーとして使用した場合、気が遠くなるような陶酔感のある音が出ます。特に歪ませた時の何とも表現し難い音は快感山の頂点です! こういうワイヤーは多芸多彩である必要は無く一点豪華主義の品物のように狙いを定めた使い方が相応しく、ターゲットとの相性が合致した時は他の何物にも代え難い満足感を味わえます。
クリーンにしても音が太く濃厚な味わいが絶品です。特にレスポールとの相性はMAXで例えば激ヤバAWG22と比較しても全く遜色なく同水準に位置します。
Synkoteの方がエフェクター的に深く効く感じです。 豚骨ラーメンで例えれば今回のSynkoteは透明スープなどではなく底の見えない濃厚さです。なので音もそんな感じで激ヤバAWG22との二つの比較では非常に状態の良い2本の50年代LPを2本弾き比べた時のような両者とも深い満足感が得られます。
思うにギブソンなどもヒストリック物の配線材に意図的にこのような効果のあるワイヤーを密かに採用すればもっと売れるのになと思います。新品ギターの持つ失望感は音の硬さ、角や棘のある音質にあるのですから、そこを変化させれば音は違う音になるのです。下手すればホンジュラス・マホガニー材やメイプル材にこだわるより、音質UPが可能なのがワイヤーやハンダなのです。
特に今回のSynkoteは年代的にはレスポール誕生と製造時期が重なるので年代的相性がいいのかも知れません。このSynkoteを切り替えSWから出力端子までに使い、併用するハンダで自分の好みの種類を選択すれば想像を絶する満足を得る事も夢ではありません。
ストラトも一応やってみました。このSynkoteはレスポール専用ワイヤーとして一本推しできるのでオーディオもストラトも試聴をやらなくても良いのですが・・・・・そこはVWD21、一応やります。
さて、ストラトなんですが一気に音が太くなり音に筋肉が増えました。そう! これドーピングですね! 愉快です。ワイヤードーピングですよコレ。ストラトの音を太くしたい人なんかは最高ですね。ストラトはいいですよワイヤー交換に僅か15~25cm程度あれば済みますから。
ただピックガードを外すのに手間取ります。弦が6本上に乗っていますからね。私は急いでいる時は弦が付いたままネックを外してワイヤー交換してました。その際はカポタストをして弦が外れないように工夫しました。私のストラトの改造は当時趣味化してました。ストラトは57年のボディ、58年ブロンド(アッシュボディ)、59年、あたりをバラしてあっちとこっちを組み合わせたり色々してました。
お陰で激鳴りのボディとネックを組み合わせても期待通りにはならないとか色々と勉強になりました。今ではワイヤーとハンダで相当に音がいじれますからオリジナルにはそんなに拘らないかも知れません。それでこのワイヤーだとペキペキした音ですら太くなるんです。驚きです。
最後にオマケでAUDIO用の結果をレポートします。
She Moved Thru' The Fair Celtic Woman Celtic Woman [Bonus Tracks]
何と言う原音無視の絶大な変化だろう!壮大な低音、分厚過ぎるサウンドは肉厚でマッスルだ。この曲が実に壮大な物語に変容するのだ。オーディオで重箱の隅を突くような性格の人には全く向かない。
結果良ければ何でもいいと開き直れる人に福が訪れるのだ。この音響世界は完全に重厚な油絵だ、例え淡い水彩画風のソースを入力してもOUTPUTには油彩となって出て来る不思議。しかもダイナミックな躍動感が加わる。
Tee Funk Dave Weckl Heads Up
普段はこの曲は華やかには鳴るがやや騒々しい点がある。なのにどうだ!?この落ち着きはらった安定感は尋常じゃないぞ。まるで音の底辺がギザのピラミッドになったかのような変化だ。この超安定度の重厚壮大な音響世界は唯一無二だろう。
だが良く聞くと高域も悪くないし音場表現も悪くないのだ。中域低域はピラミッドなので全くノープロブレムなのでこの段階で無敵だ。だが他人がこの音をどう評価するかなんて私には全くわからない。わからないので敢えて薦めることはしないでおこう。
Aqua Marine Isao Suzuki Quartet Blow Up
神経質な音の反対である。この曲は結構、緊張が強いられるのだがこのSynkoteだともっとリラックスできる。しかしまぁ音の迫真さは群を抜いており強烈なドラムの一閃などは頬を叩かれたような圧力感を感じる。
この音を聴いているとオーディオ評論家的な物意が全て意味を成さなくなる。「俺の話を聞け!」という物凄い歌の歌詞があるが、これと同じく「黙って俺の音を聞け!」と迫ってくる。これ好き嫌いがはっきり分かれると思う。好きな人は惚れるだろうし嫌いな人は生理的に受け付けないだろう。これは強烈な個性だ。
Killing Me Slowly Julia Fordham The Julia Fordham Collection
イントロからして普段の音ではない。何しろヘビー級のイメージが音の端々に出ている。普段はミドル級のイメージなのだがこのSynkoteだと重量感溢れるトーンに圧倒される。だが歌は変わらない、そこが凄い! やや活力的になるがトータルで見ると歌はさほど変化しない。
低域や筋力が増えるのだ。マッチョになると言った方がわかりやすい。しかしこういう変化は小型スピーカーや低域が薄めのシステムを使っている人にとってはウエルカムなのではなかろうか?私はそう思う。
Strawberry Fields Forever Karen Souza Feat. Los Panchos Essentials
おっ何だ?この変化は? 妙にカレンの声が色っぽく迫ってくるぞ。しかも全体的にサウンドが筋肉質になり心地良い安定感がある。それでいてオーディオ的に聴いても解像度や分解能はかなり高い。
いやこれは銀塩写真の風情があるぞ間違ってもデジタル画像のような薄っぺらさは皆無だ。ワイヤー一本でこんなに全体的ムードが変わって良いのだろうか?
The Day Begins The Moody Blues Days Of Future Passed
ロンドン・シンフォニー・オーケストラの前奏部分を聞く。何だこの音!? 一つ思い付いたのは昔、テアトル東京という映画館が京橋辺りにあった。そこで観た「ベンハー」の音だ。
当時のテアトル系にはウエスタン・エレクトリックの音響システムが入っていた。本物の音である。現代のドルビーなんちゃらのこけ脅しな音なんかではなく本物の音だ。それがSynkoteだと出るのだ。なんとも不思議である、オーディオ・マニアが怒り出すかも知れない「俺たちが今までやってきた苦労や努力は一体何だったんだ!?」と。
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まとめ
何しろ量が少ない・・なので早期の売れ切れ必至である。私としては売れないで欲しいと願っている。だってこんなにオーディオ・マニアの真面目さ滑稽さを鼻で笑うワイヤーなど他にあるのだろうか?ギタリストにとっては至宝のワイヤーなのかも知れないが、それはあくまで使う人により違うだろう。
だが一言言っておくとこんなワイヤー滅多に無いです。余りに小さい箱に入っている微量のワイヤーなので出品する事を躊躇っていた節があるが試聴して驚いた。こういう所にも凄い奴が隠れているのだと思った。
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