【159#】MULTICORE HMP アメリカ人になったイギリス人 1m = 300円

商品説明







【159#】MULTICORE HMP

アメリカ人になったイギリス人

1m = 300円




☆本商品は英マルチコアのHMPハンダです。

HMPとはHigh Melting Pointの略で

要するに”高い温度で溶ける”意味です。


スプール上のデータ

MULTICORE SOLDERS


Metal HMP

TYPE  366

Lot D7092/7151 

SIZE  0.71mm


年代は1960年代から1980年代


直径は約0.7mm

英国ハンダとしても最も有名なERSIN、その後ERSIN MULTICORE、MULTICOREと社名が変遷する。そのMULTICOREになってからのハンダがこのHMPだ。個人的には古きERSIN時代の3COREが好みだが、新しめのマルチコアでも性能が優秀な事は勿論知っている。しかしある意味昔のERSINの音はしない。ERSINに限らずKESTERなども何故か古いハンダほど好ましい音がするのは何故だろう。こうした問題になると訳知り顔の人は、昔のものは不純物が多いからだ、などと簡単に言う。果たしてそうだろうか?  


日本刀の作り方は非常に昔風だが、結果的な切れ味はどんな現在の刃物よりも切れる。古いから技術が無いと判断するのは早計だ。ハンダも古い方がいい、、、とは断言できないものの相当な数のハンダを聴いてきた結果としては古いものに良い音の物が実際多い。さてMULTICOREに戻ると社名のマルチコアとはスバリ、ハンダの中に松脂(合成樹脂も含む)が入っている訳だが古いタイプのそれは中央に一つの松脂層がある。つまり一個のコアだ。これの難点は松脂の入る穴が大きいせいで自然に流れ出してしまう事がままある。実際私もNEWYORK SOLDERの赤でそれを経験した。


歴史は動き 漏れ出しを軽減した3COREの登場だ、3コアは各社音の良いものが多い。そして5COREが登場する。つまりマルチコアだ。KESTERにもRESIN5というのがあるが同じ意味だ。そんなにコア数にこだわるのは作業性を向上させたかったからなのか? いまいちわからない。だがコア数の多さを誇るようにマルチコアという社名にしたようだ。私はERSINの方が名前の響きが好きだ。それはともかくERSINは段々とMULTICOREに進化していき音質は退化していく・・・ような気がする。だが痩せても枯れても元はERSIN、マルチコア時代になってもやる時はやるのである。さて能書はともかくMULTICOREのHMPの音のレポートにいざまいりましょう。




テストはHOT側とCOLD(GND)側の両方にこのハンダを使用した結果を述べます。


まずAUDIO用の結果をレポートします。


Lucy In The Sky With Diamonds  The Beatles  Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band 

これは音質の事ではなく曲について。改めてこの曲を聴くと何て冒険的な曲作りなのだと驚嘆する。緩急が繰り返し訪れる波のように変わり、録音効果は当時はデジタルなんたらが無いのでテープマシンでのエフェクト作りとか、とにかく手作り感満載だが総合プロデュース力がそれを上回り豪華な完成度となっている。なっているが今聞くとある意味実験音楽である。


だが曲の良さが実験音楽とは感じさせないのでリスナーはとにかくボーッと聞くしかない。さてHMPの音質だが、ある意味粘着気質を感じるこの曲の厚めで乾いた音をまんま出してくる。このアルバム全体にある種の歪みがありアクセントとなっている。今思うと世界初のコンセプト・アルバムなんだとわかる。


ピンクフロイドなどもこのアルバムを聞いて後日アップル・レコードに赴いたに違いない。そんなこんなのこのアルバムであるがこのアルバム以降のビートルズのアルバムは割と普通にいい曲が普通に並び、当アルバムのような実験性は薄い。そんな訳でこの曲は「曲の良さ」「実験性」「録音技術の匠の技」などが同時に伝わらなければならないがHMPハンダは見事にその仕事をこなしている。


One World  Celtic Woman  Celtic Woman [Bonus Tracks]

暖かい音だ。分析的ではない。古風なエルジン系には無いキャラクターでやはり販売市場が世界規模になった事で音作りも変化したのかも知れない。だが要所要所の詰めや聞き所は見逃さずいい感じの雰囲気を出す。しかし少々ザラッ

とした厚めの音はやはりERSINらしくないのだ。周波数的な変化はさほど感じないが、暖かくややザラついたテイストがCDよりもLPに近い。だが暖かいと言ってもアメリカのそれと違いHMPの暖かさはやや亜熱帯的湿度も僅かに感じる。雨上がりの音なのだ。雨が上がり太陽が雲の間から顔を出し、その光線が周囲の世界に付着している先程まで降っていた雨の水滴を蒸発させている・・・そんな音だ。


Heads Up  Dave Weckl  Heads Up

困った時はデイブ・ウエックルだ。実際前2曲の試聴レポで私は何を言いたいのか曖昧だ、困ったのである。そこで気を取り直して能天気なフュージョンの16ビートを聴く。コレはもう全く問題ない再生能力でワールドワイドに販売展開し世界進出したマルチコア社の自信溢れる音と言うしかない。このある種のラフさもアメリカナイズされた証拠かもしれない。もう少しレンジの広さと音離れの良さとセパレーションがあるといいなとは思うものの、それは別のERSINに任せればいいかとも思った。この音は正にアメリカ人になったイギリス人という感じか。


Need Your Love so Bad  Fleetwood Mac  Original Album Classics

64年ぐらい前の録音である。ここに来て漸くこのHMPハンダに合う曲に出会った。 この当時の録音はビートルズもそうだが平気でドラムが中央以外で鳴る事がよくあり違和感が否めない。当時の反省もあってか最近の録音ではドラム(特にスネアとバスドラ)は大抵真ん中になった。しかしそれにしてもこの曲のピーターグリーンの音は抜群だ。このハンダの特性と偶然にもマッチしたのかも知れない。ピーター・グリーンの弾くレスポールのハーフトーン気味の音は実にいい。味がある。


Fresh Air  The Kirk Lightsey Trio  If You're Not Having Fun by Now...

この曲はイントロが騒々しいので後半は聴いてなかった。中盤からフルートがソロをとるのだがこのフルートなかなか良いのである。このHMPはアタックが良いのだが、それがフルートに功を奏している。フルートは息を吹き込む音にリアリティがあるのでそこがバッチリ出てきて生々しい!! 他の楽器はドラム、ベース、ピアノだがそれらの音もなかなかのものでこの音は侮れない。アタック感の増感は このピアノトリオの音を生き生きとさせ生演奏を聴いているかのような気分になる。


レスポールです。これがですね想像以上に良かった、ややキンキンした感はあるが概ね良好だ。ニャーニャー音にはBRIGHT SWを入れたようなブライトさがあるが予想以上にLPに合うので吃驚だ。だが更に良いLP用ハンダは多数(今では)あるので、そこに入るまでの力量は無い。だが2軍に居る事はわかる。三軍ではない。クリーントーンはアタック感がありやや硬質ながら使える範囲だ。そこから歪みを深くしていくと普通は輪郭がボケてくるのであるが、そこでも音のブライトさが残り結果的にボケ過ぎにならない良さがある。この音は粘りよりも音のハリがあると言った方が適切だ。LPで大トロ系のハンダで歪みを深くすると輪郭がボケるとお嘆きの方には逆にいいかも知れない。


ストラトです。メリハリがありますね、この音。ひょっとするとLPよりもSTの方が合うかも、と今思ってます。ストラトの場合、高域は出ないとストラトじゃなくなるので困るのです。しかしうるさい音にはなってほしくないので、ハンダの選択はそこで悩むのです。このHMP、レスポールの時はややアタックが強いと書いていますがSTになるとそれが丁度良く合います。難しいんですよ音は。このメリハリがありアタックのある音はHMP独自な感じがします。




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まとめ 

このHMPは分解能や解像度が売りではない。予想外に厚めの音と湿った後に乾いたような音、そしてアメリカンなラフさ、それらが同居している。3~5曲も流している内に若干、滑らかになってきたがビンテージなハンダのようなエージングの極端な効果は見られない。変な話だがアメリカンなERSINなのだ。さてAUDIOでもギターでも音にメリハリがありアタッキーな音です。メリハリとアタック、この2点を増強したいケースではこのHMPは適任だと思います。さてこのハンダは名前の通りペースト入りなので外部のペーストは要りません。また近代のハンダなので使い勝手は勿論優秀です。さほど高温にしなくても実際は溶けます。そして良く付きますしボタ落ちしません。仕上がりも艶がありますね。何か一味違うハンダをお探しならば一度この音を聴いてみるのも良いかと思います。






【ご注意】


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