【16#】Taramet WIRE SOLDER 40/60 ASACOに迫る超音質! 　15cm 590円

【16#】Taramet WIRE SOLDER 40/60

ASACOに迫る超音質! 　15cm  590円

音を聴いてびっくりしたハンダです!

年代は不明ですが60年代〜70年代あたりだと推定。

TARACORP INDUSTRIESが社名でTarametが商品名です。

直径は約3.5mm、ペースト無しです。米国製です。合金の割合は40:60でギターに合いそうな比率です。

今回のテストもHOT側とCOLD（GND）側の両方にこのハンダを使用した結果を述べています。

まずはレスポールです。なぜLPか?  それは最近の商品レビューを見るとヒストリックやリイシューのLPを使っている人が予想通り多かったからです。やはり皆様、外観は良いので音質も良くしたいと願っているわけです。

当のギブソン社が自社の特定の年代の製品の方が新品よりも人気がある事に気付き「昔戻り」した製品を作るようになったのは企業としては仕方が無いことかも知れません。売れなきゃ倒産ですからね。だから外観、意匠だけは徹底的にコピーしたものを作る訳です。ただ音は昔の物とは較べればわかりますが当然違います。昔の物はまだ良い木が残っている時期のもので、しかも年数が経ってエージングが進んでいます。PUの銅線そのものも今から見ればVINTAGE WIREですしね。

見てくれで買ったユーザーが音も良くしたいのは当然の帰結、私なんかも最初の頃は更に音を良くする方法としてPUを交換したりテールピースに気を使ったり、ペグをビンテージにしてみたりと色々したのですが、まぁ希望を100とすれば20程度までしか良くなりません。この頃はまだ内部の電気系統の重要性に気が付いて無かったのです。

考えてみると私が行った改造は木部の自然な鳴りに影響を与えるパーツ交換ばかりなのでした（※PU除く）。しかしエレキという物は最終的に電気信号なのです。生音の鳴りだけに注目したこれまでの改造では自ずと限界がある事が徐々に理解されてきました。そう、電気系統です。とにかくエレキ・ギターと言う物は生音の鳴り+電気系統でひとつなのです。

それで私も電気系統として最初にPAFを買いました。ナンバードではなくPAFです。これは誰から譲って貰ったかと言いますとプロ・ギタリストの和田雄二郎さんからです。彼は素晴らしいJAZZギタリストでニューヨーク録音（共演者:アル・フォスター、エディ・ゴメス等）のCDが日本発売されています。その和田さんの愛用のギターがキブソンのES175、50年代のものでそこにGOLDのPAFが付いていました。そのPAFを譲って貰ったのです。

それで、私のLPはかなり納得できる方向に行きましたが・・・今日のASACOハンダやフィラデルフィアなどのような過激な変化には敵いません。それほど今日の救世主的存在がハンダやワイヤーなのです。

さて、前置きがちょー長くなって申し訳ない。

タラメットの音質レポに戻ります。

タラメットの音、、、これが実にいいんです! 音の透明感はFry's Metals-Plastic-Spoolの音に近く、音の素直さはLUCO寄りです。そしてLPとの相性はASACOにかなり近いです。LPのニャーニャー音はグレーサーレベル。ピッキング時の粘りなんかもう最高!!!　タッチにより音色が微妙に変わる様も見事でフレーズの弾きごたえがあります。

耳に痛いところは全くなし、良い所だけが前に出てきます。ヤバいです! このハンダ。クリーントーンは勿論良く、歪ませて更に良くなります。音に粘りと艶があるので弾いていて飽きません。プレイに応じて喰い付いてくれる感じです。立ち上がりに瞬時に反応するのでタッチの強弱の表現が抜群。そして徐々に歪ませて行きますと更に良い感じにどんどんなってきます。こりゃ申し分ないハンダで何しろ現在LP用では最高峰のASACOに迫っています。 

LPと同じぐらい良いです!歪ませても良くクリーンでも良いです。泣きのチョーキングをやるとちゃんと音も泣いてくれます。こりゃ楽です。ギタリストはチョーキングをやる時には感情を入れて思いっきり弦をベンディングするものですが、どっこいギターの方はあんまり泣いてくれない事もしばしば。タラメットは違います! 一緒に泣き叫んでくれます。このハンダは良い意味の濁り感とか歪み系の方面もかなり良く、歪み気味のトーンが好きな人やバン・ヘイレン以降の嗜好を持つ人にもバッチリです!!でもクリーントーンも良いですよ。クリーントーンの時は濁りや歪みが少なく透明感溢れます。STの場合クリーントーンでも泣きのフレーズ（デイブ・ギルモア）をやる人が多いですからね、泣きのチョーキングが光ります。

New Life And Other Beginnings　/　Aki Rissanen　/ For Jazz Audio Fans Only Vol.13　

まず、この8ビートJAZZでびっくり!。予想外に素晴らしいのです。やはり物というのは見てくれだけで判断するのは片手落ちだと反省しました。ダイナミック・レンジが広く歪み感は殆ど感じられません。ピアノの立ち上がりドラムのパワー感もバッチリ。そして低域の量感もかなりあります。そしてトータルとしては素肌美人風で、そのまんまで良い音が出ています。音の切れ味も良く厚みもかなりあり、要するに文句の付けようがありません。ハイハットの切れ味、タムタム、バスタムの音圧感と重量感そしてスキン感も高度。悔しいけど立派な音としか言いようが無いのです。

Double Trouble　/ John Williams /　ハリーポッターとアズカバンの囚人

良く聞くとちゃんと超高域の雰囲気成分がしっかり出ていて自然な鳴りの中にもハイエンド快感を含んでいます。そしてDレンジが広くクラシックの大編成も軽くこなし、ハンダに良くある抑圧感が生じません。これってかなり高度に良い証拠です。

Closer To You　Cassandra Wilson　　Thunderbird

まず最初にカサンドラ・ウイルソンの声がいいです。そして肉厚なリズム感もかなり良いし各部の分解能も高い。ナチュラルな良さがたっぷり味わえます。このハンダ案外アタリですね!

Manhattan Skyline　Julia Fordham　The Julia Fordham Collection

イントロの12弦ギターの美しい細波のような音の波紋がとにかく綺麗!この音一つだけでもこのハンダの優秀さがわかります。ジュリアの声はいつもより魅力的に聞こえるから不思議..。

まとめ 

このタラメット（Taramet）まずナチュラルでダイナミックレンジが脅威的に広いです。癖はほぼ無く、低域の質感は高く量感も十分。中域はこのハンダの最も美点で極めてリアルなもの。しかも聞きやすい。ボーカルが特に良いです。そして高域はHI-END領域まで素直に伸びています。とにかく声の良さは格別で立ち並ぶ強敵ハンダと較べてもこのタラメットは負けないどころか所々で勝ってしまいます。ASACOに最も近い音質だと思います。

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