【191#】Nehring
“天使と悪魔のストラト”
50cm = 2.400円
☆本商品はアメリカ製Nehringのワイヤーです。
この時代の物はビンテージ市場に皆無なので
多分VWD21でしか買えないと思います。
年代は1916年から1936年
直径は0.24mm x 7本 ※錫メッキ銅線
Nehring社について
Established in 1912 in Sycamore, Illinois, by Paul A. Nehring, Nehring Electrical Works, now located in DeKalb, Illinois, is the most experienced and longest continuous running wire mill in the Midwest. We are one of the few U.S.-based companies manufacturing both copper and aluminum conductors. Since 1912, Nehring has been serving the utility, electrical distribution, and telecommunication markets with a broad offering of quality products, superior customer service, prompt response, and short lead-lead times.
1912 年にイリノイ州シカモアでポール A. ネリングによって設立されたネリング エレクトリカル ワークス (現在はイリノイ州ディカルブ) は、中西部で最も経験豊富で、最も長く継続して操業しているワイヤー工場です。当社は、銅とアルミニウムの両方の導体を製造している数少ない米国企業の 1 つです。1912 年以来、ネリングは、幅広い高品質製品、優れた顧客サービス、迅速な対応、短いリード リード タイムの提供により、公共事業、配電、電気通信市場にサービスを提供しています。
https://www.nehringwire.com/company/history/
アメリカのビンテージワイヤーの中にはこのNehringのようなとんでもない掘り出し物が隠れていますのでゆめゆめ油断はできません。既に多くのビンテージなワイヤーやハンダを持っていると自慢しているあなたでも、まだまだ知らない世界が存在するのです。このNehringなどその証です。
実はこのワイヤー、豹が物陰に隠れて何日も獲物を見張っているようにVWD21が時間をかけて獲得の炎を燃やしていた品なのです。価格が相当に高く、いや本当に高く、これでズタボロの音だったらどうしようと、株式投資に一喜一憂する方々の如く逡巡しながらも眼は獲物をしっかりロックオンしていました。結局の所余りに高価なので他の入札者は現れなかったのですね、やれやれ。これで音が悪かったら承知しないぞとワイヤーに啖呵切っても仕方がありませんので大人しく試聴を始めたいと思います。
テストはHOT側とCOLD(GND)側の両方にこのワイヤーを使用した結果を述べます。
ストラトです。何故かこのワイヤー最初に見た時からストラト用の気がしていました。ルックス的にも合う感じですし。ストラト用といえばVWD21の歴史的順番から言うとまず現在でも販売中の12番、そしてホルヨーク、関連してウルトラ・ギター・ワイヤー系統が思い出されますが、それなりに満足していながらも私の見えない所に必ず何か他にいる筈だと薄々感じていました。そんなですからこのNehringを一目見た瞬間から一方的な片想いが始まったのです。そうしてようやくゲット。で実際どうなんだと言うことなのです。
まず感じたのは恐ろしいほど深いリミッター感です。これ完全にリミッターが一台入ってます。当然ながら電気加工的ではない極々自然なリミッターなんですが実は初めて聞くタイプの音です。何て言うんだろうな、そうエアーブラシのように先細りの先端から圧力をかけた圧搾空気が勢いよく出てくるような・・・・そんな感じ。オプティカル・リミッター特有のギッタンバッタンする過剰な抑揚の伸縮(それも好き)は無くdbx社のVCAリミッターのように一定線を平坦に保つリミッター感です。
初段階ではこのワイヤー、エージングが全く進まず、悠久の時間を寝ていた猛獣がゆっくりと目を覚ますが如くな感がありますが、それでもいつものストラトの音が一種独特な異世界的フィーリングに変貌し怪しく黒光りしながら芳香を放つのです。言い方を変えるとフェイズアウトしたようなトーンに全PUがなります。どっか狂ってるんじゃないかと疑うほどフェイズアウトしたTONEが最初からエージングに関係なく出ます。
クリーントーンにしてもフェイズアウト感は止まりません。しかもそのフェイズアウトしたTONEの色気が半端ないです。TONEに関しても何か一つエフェクターをかましている気になります。この強烈な個性はPU交換では得られないレベルの高さです。そして音量を下げても抜けが良いので観客席の最後尾の席まで届きそうな遠達性があります。にしてもこのコンプリミッター感の深いトーンは他の方法では得られませんね。しつこいようですが、このワイヤーだけで一つのエフェクターなんです。こんなワイヤー見たことないと思いました。いやまいりました。
音には更にざらつき感が加わるのでメイプル・ネックからスラブ・ネックになったような感覚があります。当然、歪み感も加わりますので下手するとエフェクターを挟まずAMP直でもいけそうです。余りにも独特な音なので唯一無二的絶対神という評価です。ストラト神です。言うに言われぬストラト・サウンドを更に異次元に飛ばす力があります。そして癖になる音、中毒性のある音なので使用には厳重な注意が必要です。こんな音が出るストラト・ワイヤーは他に存在しません。
遂に新しいストラト用ワイヤーの登場です。いや~30年はかかりましたね。
レスポールです。レスポールにおいてもフェイズアウトさせたような音が出ます。そしてこの音も過去に体験のないものです。リミッター感は実に深くその効果一つだけでも素人臭さを完全に無くしてくれます。クリーントーンにした場合でもフェイズアウトしたようなトーンなのです。でそこからGAINを上げていくと更に粘りが出てきて陶酔感の強い音になっていきます。ストラトも良いんだけど、このワイヤーレスポールにも合う。現段階でも90% の満足があるのでハンダを合わせて自分好みに追い込むのも楽しそう。グレーサーやスペシフィケーションのようなハンダのフレーバーがサウンドに付くのでレスポールの音をほんのちょっとだけストラト寄りの音にもできる。それにしても深く歪ませた時の音の気持ち良さは歴代の中でも2本の指に入るなこりゃ。
オマケでAUDIO用の結果もレポートします。
The Day Begins The Moody Blues Days Of Future Passed
基本的にこのNehringはギターに特化したワイヤーだと思い込んでいますのでAUDIOの試聴は止めようかと思ったのですが、オマケとしてやってみたところ
これがなかなかの物でした。ギターであれだけ元音をとんでもない方向に飛翔させましたのでAUDIOもいつもと全く違う音になり驚きなのです。全体としては決してワイドレンジではなくナローな感覚があります。だが先ほどエアーブラシのようだと言いましたが別の例えをするとコンプレッサードライバーのような音とも言えます。
つまりホーンスピーカー的な音になります。ホーンスピーカーを使った経験がある人ならばわかりやすいかと思います。何かこの音ずっと聴いているとどうしてワイヤー一本でこんな音が出るんだろうと首を傾げます。ズバリ言うと60年代化しますね全ての音源が。60年代の音は中域にパワーがあると言うか70年代以降のワイドレンジ化して中域の良さを失ってしまったものとは大違いです。まぁ音響調整卓も古代になればなるほどEQやなんかの音色加工機能が付いていなかったりと結構、素音が出る事になります。古いアメリカ製コンソールは原音忠実性を目指していた感じがあり、それはアメリカの空気が乾いているので楽器の鳴りが良いのです。すると元の音でも結構始めから良い音がするので卓での味付けは薄味に済むのです。
その点、イギリスは霧が出たりと湿度が高めなので生の楽器の音の鳴りはアメリカ国土に敵いません。そこでイギリスの卓(ミキシング・コンソール)は音色加工の幅を大きく取る戦略に出ました。特に4バンド・パラメEQとかの効果の幅は大変に大きく原音は加工するものだという風潮に段々なっていきました。ある時期の頂点がSSLです。SOLID STATE LOGICのミキシング・コンソールは世界中の録音スタジオのスタンダードになったのです。その全く逆でこのワイヤーは50~60年代のアメリカン・サウンドそのものです。だからと言ってALTECのように中域だけが突出したようなものではなく、全帯域にリミッターがかかっていますので中域の飛び出しはありません。リミッターで整地しちゃう訳です。
So Hard Pet Shop Boys Behaviour
前曲が60年代、そこから一気に飛んで80年代です。何故か全く違和感がありません。強いて言えば80年代録音の持つ落ち着きのなさが削ぎ落とされ、実に安定して聴いていられる音になるんですわ。ペットショップボーイズはアンドロイド的だと私はしきりに言ってきたのですが、このNehringを通すと完全に人間に戻ります。お帰りなさい。普段はこのボーカルにはプラスチックで透明ブルー系のイメージが付いて回るのですが、Nehringでは木質感や人肌温度感が出てくるのでアンドロイド的な傾向は消え失せます。
Let No Man Steal Your Thyme Pentangle The Pentangle
曲はまたしても60年代に戻りペンタングルです。この盤は正に60年代録音の素晴らしいお手本で想像以上に生音を忠実に再現していてその音のフレッシュさに驚かされます。当然ながらNehringとの相性が良く全く素晴らしい音が出てきます。ようやくこの曲あたりでエージングが進んできたようで音の良さが全方位的に表現されるようになってきました。
Orbiting Mats Eilertsen Trio Sails Set
ここらで最新の録音ソースを聴きます。これを聴いてわかったのですがこのNehringは音像の描写に曖昧さや妥協がなく結構、硬派にVintage HiFiしています。だってある意味Kelloggに似た感じもありますからね。
Manhattan Skyline Julia Fordham The Julia Fordham Collection
なるほど、この曲を聴いて理解した。このワイヤー、超高域のちょっと手前の12KHzあたりにチャームポイントがあり、それが心地よさを生んでいる。低域は総体的にはタイトだが逆に言うとそれがこのワイヤーの爽快感、軽快感に繋がっている。例えば冒頭の12弦ギターのシャカシャカと掻き鳴らした時に出る豊富な高次倍音などにそれが見て取れる。
Jagannath Simon Phillips Protocol V
ちょー気持ちいいサウンド! サイモンのドラミングはネコ科動物の生まれ持った反射神経のような俊敏さでビシバシと決まる。この曲でも低域は相変わらずタイトだ。これで低域までブンブンと量感が出てくれたら言う事はないが、そもそもストラトワイヤーなので、それ以外の用途でもここまで鳴ってくれればおんの字である。
Juna-Tabor/Apples TRACK4
ジュナの声の魅力が脳髄を貫通する。いやぁいいですねこのワイヤー、ピアノトリオや女性ボーカルの抜群さに驚きます。このワイヤー独特な12KHzあたりの感じが脳髄に突き刺さるのです。そして脳はそれを快感と捉える。シズルの効いたシンバルの音もリアルそのもの。
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まとめ
ストラトを中心に爆裂する気持ちよさ!
勿論ストラトが一丁目一番地ですが、他にもレスポール用、オーディオ用にも完全適合する快感度の高い音。ある時は天使のように、またある時は悪魔のように人を魅了します!
総じて言えることは、これはF1マシンのように明確な目的を持って作られたものと同種の臭いがします。このワイヤーの真骨頂は全域でのDEEPなリミッター感と強力なフェイズアウト効果です。恐らく同時使用するハンダとの組み合わせで何種類もの楽しい音が作れそうです。試聴では殆ど癖がないハンダを使っています。エージングには最低6曲ぐらいは聞かないと進みません。しかし一旦目覚めちゃいますとその後は半永久的にスムーズな音が出続けます。
まずはストラト用として使って驚いて下さい。何しろストラト神なので手放しでお薦めできます。12番やホルヨークも確かにいいです、定番です。しかし人には飽きるという事がございます。そう、常に明日の刺激を期待して今日はもう寝る動物です。このNehringは明日の期待に応える物です。どんなに良くても自分のものになってしまうと人はやがてそれに飽きるのです。そんな自分自身を活性化させるためにもNehringをサプリメントとしてお使い下さい。
意外だったのはレスポールも良かった事です。普通ストラト向きのワイヤーはLPにはいまいちだったりします。だがNehringにはそれがありません。レスポールも大変に良かった。面白いのがスペシフィケーションのような音がレスポールに付与される点です。スペシフィケーション・ソルダー(注:KESTER社)と言えば泣く子も黙るストラト用ハンダ、ストラトのオールド感、ビンテージ度合いを確実に上げるハンダです。しかしこのNehring、ストラトではなくレスポールにもそれをやっちゃってくれます。
それってどういう音と今首を傾げた方は追試をお願いします。レスポールとストラトは普通、出音に明確な違いがあり、片方で両方の音を出すことはできません。なのにこのNehring、その両方の橋渡しをする感があります。ストラトを右脳、レスポールを左脳とすればその二つの脳の間を繋ぐ橋のようなものです。これってもしかしてレスポールしか持ってなかったとしてもニュアンスとしてストラトみたいなムード・雰囲気が出ちゃうかも?な要素を強く持ちます。ギタリストはストラトとレスポールの指板が余りにも違うから実は両方持っていても指が慣れるのは必ずどっちかのギターに偏ります。
んで小ぶりなフレットのレスポールで慣れちゃった人はそのままレスポールでNehringを使いストラト風芸風を試みる価値があります。私は最初1968年頃、新品のレスポールデラックス(ミニハム)のチェリーサンバーストを買いマイク・ブルームフィールドのコピーとかしてましたがその後カナダ旅行に行った際に黒いストラトの67年頃のラージヘッドを見つけ速攻でゲット! ここから一気にストラトの指板に慣れていったのです。途中何故かグヤトーンのストラトをかなり長くお仕事用としても使いましたが期間的に見れば圧倒的にストラトに慣れてしまっているのです。でもレスポールってやつは脳内イメージでのROCK魂が野太く物凄く、クールなストラトと対照的に間歇泉的に欲しくなるのです。
んでも本物のバーストはフェラーリ並みの値段がするのでおいそれとは買えません。しかし考えてみると要は50年代のマホガニーバックやメイプルトップのボディと50年代ネックが付いているギブソン社のエレキなら可能性があるのです、と世界中で何万人も思った結果、部材採りとしてその種のギブソン社のエレキも人気が上がりましたね。これはコレクターよりもプレイヤーの方が人数が多い証拠です。コレクターの人は凄いですよ、バースト買ったらオリジナル・ケースに入れて開けないそうです。投資目的の人のその清さに感動します。私はすぐ開けちゃいますけどね…私はコレクターではなくプレイヤーなので良ければ何でもいいのです。色々と組み合わせた結果、最後の決め手としてこのNehringを使用すればオリジナルとはまた別の良さが展開できます。脱線しましたがとにかくそういう事です。
で案外スピーカーケーブルなんかにも合うかもです。その場合、低域はタイトですのでフルレンジ+サヴ・ウーファーとかをご使用の方はこのNehringをフルレンジ用に使うとよろしいかと存じます。
最後の最後に
もうこれと同じワイヤーは二度と出ません。無くなったらもう後がありません。
【ご注意】
価格は50cm単位ですが一回の購入での個数上限はx8と致しますので前もってご了承ください。
数量1(50cm)以上、必要な方はカートに入れる前に数量指定(MAX=8)をして下さい。
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品物の外形が角形A4サイズ(31.2cm以内×22.8cm)内で厚さが2.5cm(重さ1Kg)までの物でしたらヤマト運輸のネコポスが使えます。
運賃は全国一律200円(無料サービスしています)です。
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