【224#】ERSIN 3 CORE 40/60 🟩緑箱
25cm = 680円
☆本商品はERSINの3コア時代で40/60の緑紙箱です。
年代は1940年代から1950年代
直径は1.6mm
イギリスのビンテージソルダーの中でエルジンは不動の位置にいる、と私は思っている。実は仕事でのケーブル作りに於いてのハンダはERSINの3COREと決めていた。まず使いやすいからだ、そして音も勿論良い。これが5コア時代に入るとやや微妙に異なってくる。この微妙な差がビンテージ物には必ずあり、その差を気にしない人は5コアで十分だし、気にする人は必然的に3コアとなる。それで私も仕事ではエルジンの3コア(合金比率は色々)を使っていたお得意さんだった。今現在は他にも飛び切り優れたハンダが発掘されているので今後は何を使うかわからない、その時々に合うものを選択する事になると思う。それでも迷ったらエルジンの3コアに一旦戻るだろう。それぐらい信用している。赤の60/40(錫/鉛)の比率の物をよく見かけるが、今回の緑は40/60だ。鉛の比率が高いのでギター向きと言えるかも知れない。加えてオーディオでも鉛が多いとトータルで聴きやすくなる傾向がある。現在3コアのエルジンは世界的に見ても希少な存在なので気になった方は早めにストックしておいた方がいいかも知れない。以下に試聴結果を。
テストはHOT側とCOLD(GND)側の両方に
このハンダを使用した結果を述べます。
音楽的ムード溢れる暗い音。
まずAUDIO用の結果をレポートします。
Being Boring Pet Shop Boys Behaviour
ベースが登場してわかったが、このハンダは何やら音の実在感に優れる。いやそれが本物のリアリティかと問われれば否となる。本物論は常に難しい、何が本物なのかがそもそも哲学的だ。様々な画材により表現に違いが出るように音のそれぞれの本物感はハンダという画材で描写した結果に他ならない。リアルに写真風に描くのもいい、油絵にしたためるのもいい。水彩画のような淡い表現もありだ。つまりソースとなる音楽はハンダなどの画材によって描かれるそれぞれの本物感の表現だ。ここに良し悪しなどなく、ただ好き嫌いしかない。
このERSIN 3CORE 40/60は緑函入りだ。60側が鉛の比率なのでどうやらこのERSIN 3 COREは鉛の比率が増えたので、鉛の音が濃厚にする。これは決して原音などではない。アメリカ製の真っ当に真面目に作ったハンダに共通するスカッと晴れた空のような音はしない。やはりイギリス物はあの天候のように晴れ渡った音はしない(たまにERSINにも例外はある)。それでいいのだ どの国も同じようなハンダを作る必要はない。国毎の違いがあるように国毎のハンダの違いは必要ですらある。はっきり言ってERSINの40/60は暗めの音である。しかもうっすらと霧がかかっているではないか。こうして聞き流していると段々と暗めの霧がかかったようなこの音が馴染んできて悪くないなを通り越して好きになりつつある自分を発見する。それがこのハンダだ。
Aqua Marine Isao Suzuki Quartet Blow Up
前曲に続きベースの音に耳が行く。弓で弾くベースだ。これも原音ぽくはない。ある種の独特の個性を持つ。だがね.. いいのである。前曲同様、たらーっと聴いていると徐々にリラックスできている自分が居る。不思議なハンダであるこれ。違うかも知れないが例えば印刷ならば真っ白で滑らかな紙に精密印刷されたようでなく、和紙とまでは行かないが紙の表面に独自の表情を持つものに印刷したような仕上がりだ。ある意味、色が付いた水墨画のようでもある。実に味わいがあり、原音に真面目に向き合ったハンダ達には無い別の良さがある。ERSINは私も好きで特に黄色の50:50(3コア)には特段な信頼を置いている。音ではなく音楽の方を重視する人向きのハンダなのだ。原音派の方は他を当たれば済むことだ。この印象派気味なハンダは様々な美術の表現が好きな人にとってまたとない代物なのかも知れない。
Last Rose Of Summer (Intro) / Walking In The Air Celtic Woman Celtic Woman [Bonus Tracks]
ムードがピッタリだ。ケルティックなその世界は決してカリフォルニアではない。霧が漂うような幻想的世界がここに描かれる。モネのよく出来た絵を見て文句を言っても仕方がないように、これはこれで出来上がった世界なのだ。音質の世界はまだまだ美術のような様々な許容度に至っていない。まだまだオーディオの世界は一つの表現、例えば写実主義だけにこだわっているような古典的世界に見える。ピカソのようなハンダがあってもいいし、モネのようなうっとりする音が出るハンダがあってもいい。この40/60緑箱3コアはそっちの世界の住人だ。
Spinning Igor Prochazka Trio Easy Route
いいのである。音にワイルド感が付くので音楽が野生味溢れた躍動感をもつ。一時期ローファイがミュージシャンの間で流行ったが、主に低ビットのサンプリングレートの持つ粗めの肌合いがポラロイド・フィルム的な感覚を想起する。まぁそこまでは行かないにせよ、この40/60を通した音楽はただでは済まされない。このある種ロービットな質感は良い意味で音楽に荒削りの良さを加える。デジタル録音時代になって録音機で歪む事は無くなったのでアナログ・マジックのような物は欲しいなら後付けするしかない。そう言うのにもこのハンダは役立つ、HIFI的ハンダならいくらでも見つかるが、こうした特有な音を持つハンダは探してもなかなか見つからない。私はアナログ・マルチトラック・テープレコーダーで育ったのでこういう音はしっかりと記憶にある。
Tomatillo Dave Weckl Heads Up
山椒だ!! この音の刺激成分は。全体としては決して自己主張するタイプではないのだが確かに高域に山椒の味がする。それが全体に良い味付けとなっている。ただ40/60なので錫の高域はさほどではなく、そこはこの山椒が効いているのである。ところで山椒驚くべき事に「山椒の実にはキサントキシンという麻痺成分が含まれており、これは魚に強い痙攣を引き起こしますが、人間や動物には毒性は弱いとされています。しかし、多量に摂取すると、舌がしびれるだけでなく、意識障害や痙攣を起こす可能性があるため、摂取量には注意が必要です。」とネットにあるではないか、ちなみにこの解説は最近流行りのAIによるもので人間生活を斜めに見る事ができる素敵な語り口だ。この痺れさすというところがミソで音でも痺れは若干必要だ。若干と書いたのは痺れが多いと音楽鑑賞どころではなくなるからだ。適量な痺れ生活を望む人は迷わずERSIN 40/60をゲットだ。
allow エミリー・ニコラス フォソーラ
ビョークの曲なのだがとにかく変な曲だ。フルートの多重奏をバックにビョークが病的に歌う。ビョークは特に音楽通を気取る人が好むアーティストだが、騙されてはいけない。何かを装った何か・・のように策略に満ちている。例えばモーツァルトだ。どう考えてもモーツァルトは聴衆を舐めている。だが舐められている聴衆は喜んでいる、典雅な音楽だと信じ込んでいる。ビョークにもそのような傾向がありそれは現代美術の騙し系にも似ている。とにかくこの世の中は数を握るものが勝ちなので路傍の一輪の花には興味を示さない。大衆は芸術家の策略に騙されてはいけない。真実を見る目が必要なのだ、とか何とか言っちゃったりして。
オーディオの事はよくわかったから早くギターの結果を知らせろと言う方へ。さぁレスポールですよ!。 まぁ40/60なのでギターに合う事は予感していたがその通りでした。ギターはうるさい角が取れてまずは聴きやすい。それで味は濃く、ある種ナローレンジとも言えるレスポールの使用帯域によくマッチする音だ。それとこのハンダにはある種の歪みのような物があるのだが、それ自体がマチエールになっている。例えばゴッホのメラメラと燃えるような筆タッチのような物で既にその質感がそのまま表現の一部となっている。
この40/60も全く同じで全ての音楽を自分色にトランスフォームする。しかも変身性能が高いので変身した事を見破れない。こういう事がハンダでも起きるのだ。ハンダはある意味ワイヤーよりも変身度合いが高い時がある。それはこの頃感じている。ワイヤーの変化も凄い物だがハンダによる音の変化も物凄い物がある。ある意味、全部を変えてしまう時がある。ここがどうだとか、そこがどうだとか・・・そう言うのではなく全取っ替えなのだ。そこがハンダの怖いところだ。
ストラトはこのハンダのある種の歪みが功を奏する。エフェクターとか挟まなくても、このハンダで僅かな歪み感が付与されストラトの音がアゲアゲになる。KESTERのスペシフィケーションに通じる音の枯れ感がいい。それとこれも微妙なリミッター感が付く。そしてフェイズアウトしたような音が裏返るような表現もこなす、なかなかの業師だ。このハンダは40/60だが向いている比率としてはレスポール40/ストラト60的感覚だ。つまりどっちも悪くない。イギリス音楽を演る人ならばアメリカ製ハンダよりもこっちだと思う。
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まとめ
エルジンは時と共にマルチコア名義になっていく。音が特に良いのは最初の頃の物だ。3コアあたりからハンダとロジンが混ざり合う特性が向上した。実際他社のシングル・コアの中には穴から松脂が流れ出す現象もあったりした。しかし5コアとなって更に良くなったかと言うと音質的にはどうだろう。5コアは近代的な音に一歩近づいた感じだ。ハンダはコア数だけではなくペーストの種類、合金比率などで音がコロコロ変わるのでコア数は一つの要素に過ぎない。使い勝手が良いのは3コアからだが昔のワンコア物でも使い勝手が良いものが一部(※例、ディジョンリード)あるので一概には言えない、がそれはごく稀だ。英国のERSINは英国ハンダの老舗中の老舗だ。アメリカでいうKESTER社のようなものだ。だがそこは英国、この国はただでは済まないのだ。そんなただでは済まない英国の証がERSINだ。
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