【225#】フランス製コイル 1908年
J.CARPENTIER PARIS
15cm = 800円
☆本商品は1908年にフランスで製造された
科学実験機器の内部使用ワイヤーです。
※コイル全体ではなくコイルの巻線の切り売りとなります。
J.CARPENTIER PARIS
0.01HENRY
SIZE 0.46φmm
製造年月日1908年11月4日
直径は0.46mmの単線
絶縁体は緑のシルク
エナメル塗膜や錫メッキ等はかかっていません。
これまでフランス製のワイヤーは一種類出していますので今回の物で2種目になります。正直まだ経験が少ないので、これがフランス製ワイヤーの特徴だ、とか大層な事を言うわけにはまいりません。PARIと書いてありますので正にフランスの中心地で作られたのですね。さてさて取り敢えず音を聞く前に中のコイルを取り出さないといけません。コイルの一番外側に黒い布製のベルトのような物が巻かれており内部を保護していたのでまずそれを取り去る。中から出てきたのは美しい緑色のシルクを着装した貴婦人的フランスワイヤーだった。さて、音は如何なるものだったのだろう。
テストはHOT側とCOLD(GND)側の両方にこのフランス線を使用した結果を述べます。
まずAUDIO用の結果をレポートします。
This Must Be The Place I Waited Years To Leave Pet Shop Boys Behaviour
なんだかんだ言いながらペットショップボーイズを試聴曲に使う私。音の傾向をパッと素早く聞き取れるのがその理由だ。そういう意味では80年以降の音源の方が話が早い。70年後期までの音源は音楽そのものの内容はともかく録音に関しては実に様々だ。これが80年代バブルの時代に入ると時代は一気にリッチ気分だ、録音エンジニア達は高級な音、高品位な音で録ろうという気分になってくる。その是非はともかく音響そのものはレンジが広がりEQの使い方が世界的に上手くなっていったのだ。
コンソールで言えばSSLが一気にその後シェアを伸ばしていく。またこの頃からドラムは機械音(サンプリング音)になって行く。私の話で恐縮だがある時ドラマーとして仕事を頼まれ録音スタジオに行った。今風な決まりきったビートを要求された。だが私は自分で言うのも何だがロックドラマー時代にたっぷり培った後ノリ体質がリズムマシン的正確さを拒否してしまう。それで周囲がビートの指示をアクションで出す始末になり私はとことん嫌になってそこから逃げ出したくなった。まぁそんな訳で機械のように正確には叩けないし叩きたくもない。
だが高校での同学年に高橋幸宏が居たのだが彼はロックドラムの重めで粘るビートを高校生の頃に既に会得していた。その彼がYMO時代からは機械のように正確に叩く最初のドラマーになっていった。感慨深い流れだ。さてペットショップボーイズのタイコは機械だ。これを面白いと思うかは人次第。音楽自体がリアルタイム性よりポスト・プロダクションぽくどんどんなっていった。ある種、音楽のAI化のようなものだ。このフランス製のコイルで聴くペットショップボーイズはとにかく長く聴いていられる。適度な刺激と適度なHIFI感、そしてリラックスできるバランス、その匙加減がいいのだ。
トラック04 Juna-Tabor/Apples
ジュナ・タバーはJAZZ評論家の日比野さんに教えて頂いた。寺島靖国さんは殆ど女性ボーカルを聴かないので教えてくれなかった。いいのである。ジュナの声を聞くとボーカリストは声だなと結論が先に来る。声が悪いといくら練習しても音程は良くなるかもだが人を魅了するには至らない。ジュナの声は声量がどうのとか音程がどうのではない、声そのものの魅力が全てだ。このAPPLESというCDの4曲目がこれなのだがもうめちゃくちゃに良い! 耳元で囁く系の歌い方なのだがこれがヤバい。フランス製のコイルで聴くジュナはヤバい。激ヤバだ。このワイヤーは特にJAZZのハスキー系女性ボーカルがこの上なく良い。これより良い線は思いつかない。
Fragile 鈴木重子 Close Your Eyes
既に前曲で女性ボーカルにいい事がわかっているので、それではとやや禁欲系の鈴木重子がどうなるか試してみた。一音目がポンと出た瞬間、幸せが私の周囲を囲った。具体的にはベース、ピアノ、生ギターがセーのでポンと出るのだが、その音だけで幸せになった。こういう事は一瞬の現象で理屈はない。流石に最盛期のフランスの最上のお味という事なのか。それで重子だが相変わらずメンタル的な雰囲気で淡々と歌うのだが、どこか可愛い。これまで鈴木重子を可愛いなどと感じた事は無かった。ある意味にエロスに最も遠い歌手なのだ。その重子が可愛いなとちょっと思える。
このちょっとの差が大きい。オーディオは側から見ればちょっとの差で皆が喧々諤々の大騒ぎになる。可愛くなってみるとそれに伴って曲の味わいも変わってくる。流石にJuna-Taborのような感じにはならんが女性ならではの良さが出ている。感じとすればこれまでは街で彼女(重子と)すれ違ったとしても「あっ、なんか清楚で爽やかだな」とは思うものの、それだけだったが、このフランス製ワイヤーを音(彼女)が追加した瞬間、すれ違った際に「ちょっとお茶でも」と言いたくなる感じとでも言おうか。とにかくそんな感じなのだ。
Falling Forward Julia Fordham The Julia Fordham Collection
調子に乗って次々と女性ボーカルを聴きたくなった。ジュリア・フォーダムも色気は関与せず力量は基本ないのに精一杯歌う系の人だが、その頑張りが裏目に出る事が多く聴いていて疲れる時もあった。それがこのフランス製ワイヤーを彼女が通過すると、やはり何やら変わる。何が変わったのだろう。単純に言えば長く聴いていられる。レスポール用ワイヤーの評価で音が全くうるさくない等書く事があるが、それと同様の事がオーディオ鑑賞で起きる。多分、語り手次第で聴く側の感じ方が異なってくると言う事なのだろう。この場合の語り手とは他ならぬワイヤーなのだ。歌手は確かに音源そのものである。しかしその声物語を語るのはワイヤーなのだ。こういう事を人が知るには最低20年はかかる。このフランス製ワイヤーの素晴らしい事は再発見だろう、聴き慣れたアルバムが全く別の味わいとして感じられるからだ。
The Windows Of The World Trijntje Oosterhuis The Look Of Love
それではとトレンチャでどうなるか試してみた。トレンチャがバート・バカラックの名曲を歌ったアルバムだが、この人もさほど色気で勝負のタイプではなく清楚で可憐な程度である。で、どうだったか? 前曲のジュリア同様、可愛さが増した。いやこれ本当なのだ。恐らくフランス製ワイヤーの持つある特殊な帯域の倍音がどうたらでこうなっているのかもしれない。このフランス製ワイヤー、角の丸い音なんかではない。どちらかと言うと言いたい事はしっかり言う人だ。だがその言い方が人を魅了するのに違いない。トレンチャの声の倍音はジュナ・タバーほどではないがかなり豊穣に出るので、それをそのまま果汁滴る感触で味わえるのだ。ここがフランス製ワイヤーの味わいだ。
Blade Of Grass Lady Gaga MAYHEM
この曲はこのアルバムの中でも珍しくバラード風でレディー・ガガの別の側面を知る事ができる。レディー・ガガというとイメージとしてはとにかくMTV的に派手で大袈裟で何考えてんだお前的なイメージなのだが、このフランス製ワイヤーはそのレディー・ガガすら変えてしまう。いいのである。音楽として曲として、歌としていいのだ。レディー・ガガの既存のイメージすら変えてしまう。何か最終的にはガガを応援したい気分にまで至ってしまった。
ではレスポールです。レスポールとフランスって特に繋がりが深いような気がしないが取り敢えずやってみよう。結論から先に言うと素晴らしかった。ややフランス風なキッチュさが感じられるのもお国柄かもしれない。音のタッチは甘く良く粘る。倍音の出方は豊富だがCSハンダのように新たに倍音が作られるようなタイプではなく元々ギターが持っていた倍音をしっかり拾い出すタイプだ。私はこのフランス製のワイヤー、案外レスポールにいいんじゃないかと思い始めている。音は単線なのに全くうるさくない。
ビンテージ的な枯れ感は結構あるがスペシフィケーションのような激枯れではない。クリーントーンにしてもSWEETな感じは変わらず立ち上がりのクリアーさの鮮度が高い。この程度クリアー時に鮮度を保っていないとオーバードライヴさせていくにつれ音の輪郭がボヤけてしまうので、これは大変に有難い。何て言うかマグロで言えば中トロなのだ。コード弾きの音も印象的だ。何と申しましょうか魅力的な音なのだ。とても味わいが縦にも横にも深いのでいつまでも弾いていたくなる。歪ませても歪ませなくても共に良い音だ。何か新たな刺激を求める人はこれを試してみる価値が十分にある。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
まとめ
フランス被れになった時期もあった日本人、その後はアメリカに憧れた日本人。明治時代は1868年から1912年、このフランス製のコイルが作られたのは1908年つまりまだ日本は江戸時代なのだ。今日本では万博が開かれているがフランスで開催された万博は1867年、1878年、1889年、1900年、1937年で特に1900年の回にこのフランス製コイル(1908年)は製造年が近い。1900年のフランス万博では「電気館」が中心的な建造物で「動く歩道」や「走る電車」が話題を呼んだそうだが、この頃のフランスはとっても先進的だったのだ。
このパリ万博を機にアール・ヌーボーが流行した。この1900年の回はパリ万博の中で最も華やかで大規模な物であったようだ。さて改めてこのフランス製コイルを見てみるとなかなか味わい深い。この当時の科学機器はとても実直に真面目に作られている。まずルックスがいい。そして頑丈そうに感じる。いい時代だ。現在の軽薄短小な電子部品とは大きく異なっている。そこには電気へのリスペクトと愛すら感じる。
江戸時代の頃日本ではまだ電気は使われていない。蝋燭や提灯、灯籠などの油を使った照明器具が使われていた。まだ電気は西洋から導入された電気器具(エレキテル)として一部の知識人の研究対象でしかなかった。トーマス・エジソンが白熱電球を発明したのは1879年、一般家庭に電球が普及し始めたのは1880年以降だ。まだ日本は江戸の末期だ。この差は大きい。日本で電球が一般家庭に浸透するのは明治時代から大正時代にかけてだが、特に昭和30年(1955年)以降、電気製品の普及が急速に加速し生活様式が一変したと言う。 なんともな時代だ…。何を言いたいのかと言うと当時のフランスは進んでいたのだ!
このフランス製のコイルワイヤーで聴く女性ボーカルは神がかっている。まるで歌う女性を取り巻くオーラが金色に輝き出し部屋の隅まで充満するかのようだ。この音を聴いてしまうとやれ真空管だとかやれアナログ盤だとか・・、真相はそういう事ではなかったなと溜息が漏れてしまう。流石に20世紀初頭のフランス製ワイヤーは一味違う。
一度は日本人が憧れたフランス、その20世紀初頭の最もフランスが熱く美しかった時期のワイヤーがこれだ。
とにかくJAZZのハスキー系女性ボーカルを聴かせたらこれに勝るワイヤーはこの世に存在しない。
15センチ程度このワイヤーをシステムにインサートするだけでその違いがわかります。
【ご注意】
価格は15cm単位ですが一回の購入での個数上限はx20と致しますので前もってご了承ください。
数量1(15cm)以上、必要な方はカートに入れる前に数量指定(MAX=20)をして下さい。
支払方法
■銀行振込: 三井住友銀行
■ゆうちょ銀行
■クレジットカード
■コンビニ決済
【発送方法/発送費について】
品物の外形が角形A4サイズ(31.2cm以内×22.8cm)内で厚さが2.5cm(重さ1Kg)までの物でしたらヤマト運輸のネコポスが使えます。
運賃は全国一律200円(無料サービスしています)です。
時間指定はできませんが追跡が可能です。品物はポスト投函です。おおよそ
1~2日でお手元に届きます。
上記以上のサイズ重量の物、そして到着日時の指定をしたい場合は
宅急便コンパクトでの発送となります。