2023 9/15 9/23※お客様からのご指摘があり、この商品にはエナメル皮膜が無い事が判明致しました。テスターチェックの際の勘違いによる誤表記でした。ここに訂正致します。すみませんでした。
【77#】EDWIN I. GUTHMAN 32AWG
1949年布巻き単線
1m 690円
EDWIN I. GUTHMANってブランド、殆どの人が余り知らないかと思います。私も(20年ほど前に)入手するまでは全く知りませんでした。EDWIN I. GUTHMANってほぼ人の名前そのまんまですよね。いいですこんな大らかな所、アメリカ大陸を感じます。全く未開封な物を購入したので画像は紙シールでぐるっと巻いてあるのを剥がすシーンからストーリー的に撮影しています。
中から出て来たのは木製スプールに印象的な黄色のラベルが貼られたコットン巻きの裸単線です。ラベルにはAWG32と書かれてあります。測ってみると直径は約0.2mm(単線)でした。
CHICAGO.ILLなのでイリノイ州のシカゴが生産地のようです。DATEと記されている箇所に製造年月日がスタンプされているのですが MARまでは読めますが、その後は判読できません。買った時の相手は1949年と言っていたので多分そうなのでしょう。
今回のテストもHOT側とCOLD(GND)側の両方にこの線を使用した結果を述べます。このやり方は最も線そのもののキャラクターを知る方法です。基本のキャラクターがわかった後でGND線を色々と変えて楽しむのも一興です。
AUDIO用の結果をレポートします。CDは8枚用意しました。まずはJAZZの8ビートで音全体のダイナミックレンジや切れ味を測ろうと思います。
New Life And Other Beginnings Aki Rissanen For Jazz Audio Fans Only Vol.13
音ヌケがまず宜しいです!そして乾いたスネアの音も良く表現され瞬発力や皮のスキン感、スネアの胴鳴りを感じます。ピアノもリアルです。このピアノはアタックが強く倍音のPEAKが瞬時に立ち上がるので煩くなりがちですが全くそうならず寧ろ大変に聞きやすく心地よいサウンドです。この難しい曲を良くこなしていますね。この曲、音が良くないと全然面白くも楽しくも無いのですが最高!。切れ厚み解像度の三拍子が揃った音。
Red River Valley Cassandra Wilson Thunderbird
スライドギターと歌だけの曲。声がとにかく良い、ゾクゾクします。声を聴いて快感が得られのはAUDIOの特権です。ボトルネック・ギターの枯れてなお強靭な音も強烈です。またスライド・ギター特有のバーを移動する時に得られる絶妙な音も全く持って素晴らしい! 。この人の声がここまでガチ・リアルに聴こえたのは初めての経験かも。是非、皆様にも追体験してほしいです。歌の神様が乗り移ったような声です。
Tears In Heaven Eric Clapton The Clapton Chronicles
皆様良くご存じのクラプトンの渋い哀愁のある歌です。なので哀愁感が感じられなければダメなのですが、これがいいっ! 今や良い歳になったクラプトンのちょっと掠れて気取らなく切ない歌がとてもいいです。また演奏の表現も立派で録音自体も悪く無いのですが更に好印象に聴こえ親しみが持てます。生ギター(彼の場合、CFマーチンの小さめなギターが多い)の音も魅力的で定位、解像度共に優秀。ある意味パーフェクトな音で文句は付けようもありません。ナチュラルな音なのに解像度が極めて音楽的で高いのだ。
Double Trouble John Williams ハリーポッターとアズカバンの囚人
今や映画音楽の巨匠となったジョン・ウイリアムズのオーケストラ曲。ボーイソプラノとオケが共に共存する再生の難しい曲だ。良いワイヤーで聴くと極めて録音が優秀な事がよくわかる。低いノイズフロアで声のリアリティ(ボーイソプラノは難しく煩くなりがち)、弦、大太鼓の実在感など全て良し!
Killing Me Slowly Julia Fordham The Julia Fordham Collection
鮮度の高い12弦ギターの音がまず合格。12弦ギターは複弦の微妙なコーラス効果が美しく出ないとダメなのだが、これは極めて美しい!ダイナミック・レンジがこの太さとは思えないほど広く低域も出る。ワイヤーの場合、細くても低域が出るものは有利で高域側はその細さから最初から問題なく出るから全域としての再生の完成度が高くなる確率が高い。これはその良い例だ。Wincoなどもそのくちだがこのワイヤーも素晴らしい。ベストなバランスだ。全く破綻がない。
Juna-Tabor Apples トラック05
スモーキーな曲。とにかく彼女の声が魅惑的。そしてピアノの立ち上がりが激しく良くリアルそのもの。超繊細な音からパワフルな音まで完全にこなす。こんな細いワイヤーの何処からこんな音が出るのだろう。
Orbiting Mats Eilertsen Trio Sails Set
恐ろしく再現の難しい超HI-FI録音。この曲では薄気味悪いほどリアルな定位感が何処まで再現できるかが鍵なのだが、いや素晴らしい! 超一流の再生音だ。各々の音の定位の微妙な違いがのけぞるほどリアルに再現される。精密描写OKなのだ。それなのに音が細く痩せない。寧ろ人肌の温かみすら感じる。高域はかなりハイエンドな領域ま出ていて素晴らしい。
交響曲 第5番 ニ短調 作品47 II-Allegretto Stanisław Skrowaczewski: Yomiuri Nippon Symphony Orchestra
最後にオケを聞く。冒頭の低弦の素晴らしさ、太さ、厚み、凄みの全てが揃っている。繰り返すがこの細さのワイヤーでは普通出ない音だ。もろバッチリの低弦に表情が綻ぶ。やはりクラシックは弦が良く無いとつまらない。倍音の出方も物凄く良く完璧。
番外編でレスポールはどうだったか?これが意外と良いのですよ。ちゃんとニャーニャー音も出るし耳に痛いところが全く無い。この線を5本とか7本撚りにしてギターワイヤーに仕立てたら良さそうだ。一本でこれだからかなり良いだろうと予想する。撚り線を自作するのは面倒だが、やり甲斐のある音が出るに違いない。単線一本でもギターでここまでの音が出るワイヤーがあるんだと驚きました。
調子に乗ってストラトもです!。これも悪くない! これを7本撚りとかにしてVOLから出力ジャックまでの15cm程度に使ったら本当良さそうだ。LPに比較してSTは配線材が短くて済むので経済的だ。ちなみにPUに付いているワイヤーまで交換しようとする方も居るがお薦めはしません。PUから出てくるエナメル線は42AWGと大変に細く断線し易いし、ハンダゴテの先を長く当てるとバルカン・ファイバーが溶けてきたりと大変に技術を要します。ストラトの場合VOL-OUTから出力までの短めの部分の交換だけで目的は達せられます。ちなみに交換するワイヤーは長ければ長いほど良いのかとの疑問がありますが、結論から言うと短くても大変に効果がありますので長さに拘らなくても大丈夫ですよ。
まとめ
いや~っ、良いワイヤーですね!この音で文句があるなら自分のシステムの方を疑った方がいいぐらいです。ジャンルは全く問わず変な色付けは無いしナチュラルでありながらダイナミック・レンジは広く、細部まで見渡せる精密な分解能を持ちます。EDWIN I. GUTHMANさんの作ったこのワイヤー文句無しです!!
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