表題の通りこのハンダは存在するだけで奇跡的です。私も世界中から30年余りワイヤーやハンダを蒐集してきましたが今回、本当に奇跡的に初入手できました。
日本でこれと全く同じスペックのハンダを持っている方は多分私だけでしょう。まず普通はGARDINERのハンダは大抵がプラスチックリールの物です。中には珍しく金属スプールの物もあったりしますがKESTERなどと比べれば圧倒的少数です。
FEDERATED METALS DIVISIONとのダブルネームのGARDINERの同サイズの物は前に見かけた事がありますがGARDINER単独ネームのこの時代【40年代】の物は見た事がありません。正に幻のハンダであり私自身、入手できるとは思っていませんでした。
それと言うのも..話は少々脱線しますがGARDINERハンダには苦い思い出があります。何と木製スプールの大型のGARDINERハンダをかなり昔に海外から購入したのですが何かの手違いか、それとも盗まれたかで結局私の手元に届かなかった事がありました。以来、GARDINERには運が無いなぁとの、ある種の諦め感がありました。しかし・・時は熟し今回念願のGARDINERハンダがやっと私の手元に舞い降りてくれたのです。
簡単にまとめますと激レアなどという言葉を完全に超越したレア中のレアな物がこのハンダです。
チェックしてみました。結論から先に言うとやはり素晴らしいハンダでした。この時代の物としては珍しく溶けやすく付きやすい作業性を持っています。そしてまず音質の良さです。このGARDINER特有のコンプ感が加わるサウンドは稀有な物です。プラリール時代のGARDINERにも少しそのコンプ感は見受けられますが、このハンダほどはっきりと明確なコンプ感は得られません。
特にギターに使った場合にこのコンプ感はプラスに働きます。そして実際のコンプレッサーをかけた時のような不自然さはなく、あくまでもナチュラル・コンプなのですからもう言うことはありません。
最初にレスポール系です。これが素晴らしい!コンプが深くかかったような抜群なドライブ感が堪りません! なんでハンダでコンプ感が出るのかは良くわかりませんが結果的にそう聞こえるのです。しかも全く不自然感が無いのが特色。実際にコンパクト・エフェクターでコンプをかけた音とは全く異なります。ハードアタック時のピークが抑えられるのがコンプの味わいですが実際のコンパクト・エフェクターでのコンプ感はいかにもコンプで御座います的なあざとさがあり加えて実際のステージではヌケの悪さに繋がることが多く使い物になりません。
その点、ハンダによるコンプ感は夢のように自然で全く不自然さやマイナス点が見受けられません。たった一箇所のハンダ付けでこんな効果が出てしまっていーんでしょうか?
このハンダ、コンプはかかりながらも音の芯は失わないところが秀逸。実際のコンパクト・エフェクターでのコンプでは例え波形の頭を抑制できても大抵は芯を失ってしまいクニャクニャの音になってしまいます。
エレキ・ギターはエフェクターを通し過ぎると電気的に加工されたチープな音になりやすいのです。
話を戻しますとこのハンダによるコンプ感は完璧です。ナチュラル・リミッター、ナチュラル・コンプの世界です。エレキ・ギターのリアリティを失わない凛とした骨格が残るコンプ感なのです。
LPでのクリーントーンはどうか?
甘さと硬質感の絶妙なプレンドと言ったら言い過ぎでしょうか?一般的にLPに適合するハンダの音はニャーニャーと猫のようなTONEを感じますがKESTERなどその性質を持つものは見事にニャーニャー言います。このGARDINERの場合、クリーン・トーン時の音のクリアーな立ち上がりをスポイルしません。ここが大事で硬軟併せ持つ対応力が見事です。そして徐々にブーストさせた音にしていくと歪みに乗じてコンプ感が効いてきます。ここが堪りません。
LPマニアにとっては一つの大きな選択肢ですね、このハンダは。
次はストラト系です。これまたコンプがたっぷりかかったような味有りまくりの音。ストラトの場合LPよりもコンプ感との相性は良いので更にご機嫌な世界です。ストラト特有の(特にリアPU使用時の)キンキンした音は全く出ません。
このハンダは帯域的にはワイドレンジではなくどちらかと言うとナローレンジです。しかしただのナローレンジとは異なりまして単純に言うと良い音、味のある音に変貌するのです。無理に高域と低域を広げて破綻するよりも的確にオーディオの大事な中心周波数にベスト・フィットしてくれるのです。そしてくどいようですが最上のトータル・コンプをかけたような素晴らしいまとまりが得られます。この味があり暖かみのあるTONEこそがこのGARDINERハンダの真骨頂ですね!!
使用感としては、すぐ溶け、付きやすいのでストレスがありません。
ROSINコアなのでペーストの必要もありません。