【188#】KESTER“88” は
あの“44” を上回ったか!?
50cm = 880円
☆本商品はアメリカ製ケスター社ビンテージハンダです。
スプール上のデータ
KESTER
813245
60/40 Alloy Core 66
“88” Resin Flux Dia. .081
SOLDER
20Lbs.Net
KESTER SOLDER COMPANY
DIVISION OF LITTON INDUSTRIES
CHICAGO、U.S.A.
NEWARK、NEW JERSEY・ANAHEIM、CALIF.・BRANTFORD、ONTARIO、CANADA
年代は1950年代から1960年代
直径は約2.0mm
ビンテージソルダーの歴史の中、KESTER “44”ほど有名なハンダは無い。実力はともかく知名度で言えばテイラー・スウィフトかリンカーン大統領クラスだ。そんな中、これを読んでる貴兄はKESTER “88”の存在を知っていたか? もし知っていたら私より物知りだ。私自身「え88?!」とおもった。このKESTER “88”はKESTER “44”のパロディなんかではなく、何とリットンマーク期のKESTERのちゃんとした製品であっだ。しかし私は知らなかったぞKESTER “88”。ここからは「VWD21妄想劇場」だが、当時KESTER”44”で気を吐いていたケスター社は次のヒット作を練るべく各スタッフがアイデアを出し合っていた。その中の一人が「名前ねKESTER “88”ってのはどう?」 一瞬、その場に冷やかな静寂が訪れる….「いや、、その名前はないっしょ?」「無い無い!」「でも44の波に乗れるかも」とか喧々轟々になった時「バッカモーン!! 君らは誇り高き我が社の矜持を知らんのか?」と社長がどこからともなく現れて皆に喝を入れた。「我が社の製品は第一に性能なんだよ! 性能! 波に乗るとかそんな姑息な事を考えてどうする」この後社長の説教が朝の校長訓話のように続いた・・・
のかも知れないがそれはともかく、何故か一発屋で終わってしまったのかも知れない。皆さんもこんな経験があるでしょ、コンビニ等で自分の好きな食べ物や飲み物があり「これこれっ!コレでしょ!」と秘かに愛好してたのに或る日 突然店頭から消えていた事。美味いものに限って早期終了ってこの世の中の七不思議ですね。おそらく“88”もそのパターンに違いない(のか?)、美味かったのだが終わってしまった隠れた銘品…なのか!? それをこれから音質的に検証していきたいと思います。
テストはHOT側とCOLD(GND)側の両方にこの “88”を使用した結果を述べます。
ハンダの溶けやすさや付きやすさは“44”同様でありました。
まずAUDIO用の結果をレポートします。
A Day In The Life The Beatles Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band
まずレンジ感があり広大ですらあると感じる。高域のシャキシャキ感はしっかり出る。超高域帯は控えめだ。そして歌詞がニョキッと良く聞き取れる。コレは得点が高いぞ。なんとドラムの量感、マッスル感は非常に高い、ここまでで1分もかかっていないが既に印象上の高得点を稼いでいるぞ“88”。そして音量感が大きいハンダだ。ビンテージ度は44と同じぐらいかも。だが明らかにドラムの音はKESTERハンダの中では最上位レベルに入る。リミッター感も高く音楽を陽性に堂々と迫力を持って聞かせる。
The Fool On The Hill The Beatles Magical Mystery Tour
もう一曲ビートルズから。うん、これでわかった。このハンダ、ボーカルがまずいい。ビートルズのメンバーの声が重なる所の音の快感が高い。そして60年代の古い録音なのにもぎたての果物のような鮮度感の高い音を出してくる。うんまだ2曲目なので断言はできないが期待が持てるハンダとこの時点で確定した。音の元気の良さは特筆すべきもので、それは単に若い音と言う意味ではなく生命力を感じられる。この時点でマイナス面はまだ何も出てきていないぞ。
Tee Funk Dave Weckl Heads Up
バンドをやった事のある人ならばわかるかもだが、この”88”のリズム隊のビートのシンクロ度合いはチョー気持ちいい。バスドラとベースがきっちりタイトにシンクロすると脳内ホルモンが滲み出てくるものだ。その音が抜群に良い! おいおい、こんな良いハンダがKESTERにあったなんて聞いてないよ~(by ダチョウ倶楽部)と言う感じだ。この段階で50年代の”44”よりも何馬身か先に行っている。先程1曲目で超高域は控え目だ書いたがこの曲の場合これでいい。むしろこれがいいのだ!。超高域が常に聞こえてしまうと音楽よりも音に意識がいってしまうからだ。超高域は匙加減が大切だ。
Orbiting Mats Eilertsen Trio Sails Set
ここいらで難しい曲をぶつけてやろう! この曲はハイエンドな録音なので性能が低いとボワボワとしてしまう。あれ全然シャキッとした音でねーの。それで不思議なのはこの曲の録音は寒色系にやや傾いているのだが、このハンダのお陰でその傾斜が是正され寒くも暑くもない音になった。喜ばしい事だ。結果的にはハイエンドを殊更意識させるようなあざとさも無く、本日快晴的に車を軽快に走らせているような感覚だ。定位も解像度も高いのにそれを殊更主張するような器の狭い奴ではないのだ88は。
Nyanga Simon Phillips Protocol V
難曲ついでにコレも。この曲は10秒程度で試聴する対象の音が大方わかってしまう怖い曲だ。いいのである。この曲でのトップ1はVS4.0だが、この88も決して負けていないDレンジの懐の深さと十分すぎる解像度を持っている。各部の硬質感はVS4.0の方がダイアモンドのように硬く88は黒檀のようなウッディな硬さというべきか。多分内部のペーストがそれを醸し出しているのかも知れない。簡単に言うと剛に傾きせず、さりとて柔に甘んじずだ。お主なかなかのものよのう..。 いいハンダだ..。
Quiet Village Danny Gatton 88 Elmira St.
テレキャスの名手ダニー・ガットンの弾く南国調ムードの曲。いいねぇ、この感じ。このハンダはとにかく陽気である。能天気なんかではなく健康的な陽気の方ね。そんな意味では必ず陰りのある英国ハンダとは一線を画す。アメリカの良さは実は陽気である事だ。イギリスを見よ! .陽気か? んな訳ないじゃん。知らない街を歩いていてあなたは陰気な街と陽気な街とどっちを歩きたいと思いますか。わたしゃ陽気な方を歩きます。物騒ですからね。ダニー・ガットンのこのアルバム88 Elmira Stのどの曲をこの88で聞いてもご機嫌な音で楽しくなります。そしてオーディオ的にも疲れない良い音なんですわ。
Juna-Tabor/Apples トラック04 Juna-Tabor Juna-Tabor/Apples
最後はジュナです。いやいいですね。ホッとします。冒頭のボロロンと唐突に入ってくる生べースの音がリアルで良いし、その後に囁くように歌い出すジュナちゃんの声のセクシーな事。すげー声を天はジュナちゃんに与えたのですね。この声の良さったら・・・・この声の良さったら・・・・この声の良さったら・・・・本当にいいわこの声..。この曲の為に88買ってもいい!
レスポールでは”44”に似た雰囲気がまずありますが聴き込むと何となく違う、何が違うのかと探すと44には言うに言えない癖があるのですが88にはそれが無いのです。なのでレスポールの素音の良さをスポイルしない。粘りと柔らかさが絶妙にブレンドされた音で枯れ感はさほどありませんが、それは私が普段、枯れまくったハンダばかり聴いているので、逆に88が普通に感じるだけの話。クリーントーンは耳に痛くなくウォームでありながらカチッとした音も出たりします。歪ませていくと文句なしのトーンが出てきます。これならレスポール専用ハンダとしても合格です。CSのように倍音が更に湧き出る事は88にはありませんが普通に弾いていて大変に心地良くいつまで弾いていても飽きないですね。私にとっては50年代44よりも上位に位置するハンダです。
ストラトでの場合、KESTERスペシフィケーションのような歯軋りするような枯れ感はありませんが、スムーズな良さがあります。潤滑性があるというかトゲトゲとした引っ掛かり感が無いのです。スペシフィケーションは言うなれば荒れた肌のようですからね。ストラトでクリーンな音にしてもリミッター感が効いていい感じになります。耳に痛い所は抑えてアタック感はしっかり出ます。歪ませていくと咆哮の具合はかなりハイレベルで優秀なハンダである事がわかります。KESTER”44”よりも暖かみのあるトーンです。
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まとめ
このKESTER“88”は鼠色のスプールに入っている。”44”のように茶色でなくネズミ色。ここが問題だったのかも知れない。色は商品の売れ行きに影響を与える。これが茶色や赤ならばもっと続いたのかも知れないのだ。音的傾向としては”44”よりも空間が広く、よりパースペクティブな音場だ。低域はずしっとした重量感と高い質感があり中域は中庸でちょっとだけFLUX COREを忍ばせる甘さを持つ。どんな曲を聞いても高得点なのは44と同じだが、やや88の方が改良型と言える音がする。44は意外と個性的な音なので皆が思っているほどスタンダードで音に癖のないハンダではないのよ。
癖が少ないのはナッソやエルジンだ。この音に近いエルジン系は「【4#】ERSIN MULTICORE SOLDER 60/40 基準の一つ!」だが、それよりも88はレンジが明らかに広く、再現される空間も広い。ナッソ系特に7076は優秀だが面白味の少ない東大生のようだ。88はそれよりも楽しさに満ち世の中を明るく捉え細かい事にいちいち拘らないが感性は繊細だったりするのが88だ。結構長時間に渡る試聴だったが聞けば聞くほど良いハンダだと感心した。やはりコンビニの名物お菓子みたく良いものはすぐ絶版になってしまうのだな。簡単に言うと44の足りなかった所を全て改善したハンダが88だった..なのだ。
※後日判明した事をこのページの最末尾に載せました。
聴いていてこんなに楽なハンダは珍しい!
KESTER“88” はあの“44” を上回ったか?! ですが、はい確実に上回ってました。
【ご注意】
価格は50cm単位ですが一回の購入での個数上限はx6と致しますので前もってご了承ください。
数量1(50cm)以上、必要な方はカートに入れる前に数量指定(MAX=6)をして下さい。
支払方法
■銀行振込: 三井住友銀行
■ゆうちょ銀行
■クレジットカード
■コンビニ決済
【発送方法/発送費について】
品物の外形が角形A4サイズ(31.2cm以内×22.8cm)内で厚さが2.5cm(重さ1Kg)までの物でしたらヤマト運輸のネコポスが使えます。
運賃は全国一律200円(無料サービスしています)です。
時間指定はできませんが追跡が可能です。品物はポスト投函です。おおよそ
1~2日でお手元に届きます。
上記以上のサイズ重量の物、そして到着日時の指定をしたい場合は
宅急便コンパクトでの発送となります。
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【後日談】
もしやと思って検索したら現在のKESTER社のサイトに今のタイプの88が載っていました。ただリットン期の物とは違いがあり、それは鉛と錫の合金比率の違いです(※仮にデータが全部一緒でも昔と今のでは音が違います)リットン期の88は60/40です。しかし現在の88は比率が50/50と40/60の2タイプで60/40はありません。
最近の88はデザイン的に見ても何だか..のっペリしています。言い方悪いけど現在のKESTER社はハンダを昔ほど愛していないような気がするのは私だけ? 。
※一応英文なので以下に翻訳かけてみました。
Kester 88 活性ロジンフラックスは、非常に効果的な活性剤が添加された高品質のグレード WW ロジンで構成されています。このロジンフラックス配合は、数十年にわたってエレクトロニクス業界の標準となっている人気の Kester 44 に似ています。ただし、Kester 44 フラックスでは過度に酸化された金属表面を濡らすことができない場合に、より優れたフラックス作用を提供できるように、Kester 88では活性度が高められています。
https://www.kester.com/products/product/88-flux-cored-wire